2009年NHK交響楽団定期演奏会ベスト3
第1位:6月Cプログラム 準・メルクル 指揮
曲目: ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番 ハ長調 作品15 ピアノ独奏:ジャン・フレデリック・ヌーブルジェ メンデルスゾーン 劇音楽「夏の夜の夢」 ソプラノ独唱:半田美和子、メゾソプラノ独唱:加納悦子 合唱:東京音楽大学、合唱指導:阿部純 語り:中井貴恵
第2位:10月Aプログラム アンドレ・プレヴィン 指揮
曲目: W・リーム 厳粛な歌(1996) リヒャルト・シュトラウス 歌劇「カプリッチョ」作品85から最後の場 ソプラノ:フェリシティ・ロット リヒャルト・シュトラウス 家庭交響曲作品53
第3位:12月Cプログラム シャルル・デュトワ 指揮
曲目: チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35 ヴァイオリン独奏:アラベラ・美歩・シュタインバッハー ヤナーチェク グラゴル・ミサ曲 ソプラノ独唱:メラニー・ディーナー アルト独唱:ヤナ・シーコロヴァー テノール独唱:サイモン・オニール バス独唱:ミハイル・ベトレンコ 合唱:東京混声合唱団 合唱指揮:松井慶太 オルガン独奏: 小林英之 次点:1月Aプログラム デーヴィッド・ジンマン指揮
ベスト指揮者:準・メルクル
ベスト・ソリスト:フェリシティ・ロット(ソプラノ)
選択の理由NHK交響楽団が行う年間27プログラムの定期演奏会うち、2009年は18回を聴きました。その18回に関して申し上げれば、全般に水準が高く、殊に9月からの新シーズンに良い演奏会が多かったと思います。ただ何年も覚えていられるような群を抜いた名演奏があったかといえば、そうはいかない感じです。でも、水準の高い演奏会を続けられるのはもちろんN響の力量ですし、でこぼこが多いよりはもちろんましなことなのでしょう。
本年は、1月にまず、デーヴィッド・ジンマンが登場しました。Aプロのショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲とシューベルトの大交響曲の組み合わせがまず素晴らしかったです。CプロはAプロと比べると線の整わない演奏で今一つでした。2月のAプロ、エリシュカは「我が祖国」を持って登場し、なかなか素敵な演奏を聴かせてくれました。期待のリッツィは私的には一寸期待はずれでした。4月はエド・デ・ワールトが登場、Aプロのソリスト・スーザン・バロックが殊のほか素晴らしく、「4つの最後の歌」と「ブリュンヒルデの自己犠牲」で名唱を聴かせてくれました。5月のAプログラム、オリ・ムストネンは今一つでしたが、Cプログラムの尾高忠明のエルガーは結構なものでした。6月はジョナサン・ノットのほうが今一つでしたが、準・メルクルの振った「夏の夜の夢」はとても聴きごたえのある名演奏だったと思います。
以上前半は毎月聴く2つのプログラムの内、一つが良かったという感じです。
後半は前半に増して良かったです。
まず、9月には、古楽の名手・クリストファー・ホグウッドが登場し、現代楽器で名演奏を披露しました。ホグウッドの音楽学者としての一面を示すオール・メンデルスゾーン・プログラムは知的好奇心を満足させてくれるものでしたが、それだけではなく、ノン・ヴィヴラート奏法による直截的な演奏は素晴らしいものでした。Cプロのハイドン・ロンドン交響曲も素敵でした。10月は本年よりN響の首席客演指揮者に就任したアンドレ・プレヴィンです。Aプログラムは、フェリシティ・ロットを迎えての、「カプリッチョ」の最後の場面。これは、11月の二期会・佐々木典子による同じ場面の歌唱とは比較にならないくらい素晴らしいものでした。また、家庭交響曲の標題を大事にした音楽も素敵なものだったと思います。Cプログラムの自作とモーツァルトのピアノ協奏曲23番そしてショスタコの5番という組み合わせの演奏も名演。ことにピアノを弾いた池場文美が素晴らしかったです。11月のネッロ・サンティも素敵。未完成とブラ1というポピュラーな名曲に新たな魅力を見せたAプログラム、レスピーギ、ヴェルディ、ストラヴィンスキーとならべたCプロ、ともに良かったと思います。12月の名誉音楽監督デュトワもまた魅力的なプログラムで見せました。Aプログラムにおけるショスタコーヴィチの2番のピアノ協奏曲、そして、Cプログラムのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲とグラゴル・ミサ。見事でした。以上の中からベスト3候補を選ぶとすれば、1月のAプロ、2月Aプロ、4月Aプロ、5月Cプロ、6月Cプロ、9月Aプロ、Cプロ、10月Aプロ、Cプロ、11月Aプロ、Cプロ、12月Aプロ、Cプロでしょうか。同一指揮者の二つの演奏会はそれぞれひとつにまず絞ります。
9月のホグウッドのプログラムは、オールメンデルスゾーンプログラムのほうが凸凹が少なかったことからこちらをとります。10月のプレヴィンは、池場文美のモーツァルトは捨てがたいですが、Aプロをとるのが順当でしょう。11月のサンティはAプロをとります。そして12月のデュトワは滅多に聴けない「グラゴルミサ」を取り上げたCプロにします。、
この9プログラムからトーナメント方式で更に絞ります。1月のジンマンと2月のエリシュカはジンマンでしょう。4月のエド・デ・ワールトと5月の尾高では、スーザン・バロックの素晴らしい歌に惹かれて、デ・ワールトにします。6月メルクルと9月ホグウッドは、私はメルクルに軍配を上げます。10月プレヴィンと11月サンティは、やはりプレヴィンでしょう。そして、敗者復活で残したいホグウッドとデュトワとの比較ですが、これはデュトワに惹かれます。
1月A、4月A、6月C、10月A、12月Cの5プログラムが残りました。この5つの演奏を思い出すと私の一番気に入ったのは6月のCプロでした。そして、10月A、12月C、1月Aの順番となります。
ベスト・ソリストですが、こちらも難しいです。1月Aプログラムでショスタコの第1ヴァイオリンコンチェルトの素晴らしい演奏を披露したリサ・パティアシュベリ、4月のAプログラムのスーザン・バロック、4月のCプロでチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏したジャニーヌ・ヤンセン、10月Aプロのフェリシティ・ロット、10月Cプロの池場文美、12月Aプロでショスタコーヴィチの2番を演奏したキリル・ゲルシュタイン、12月Cプロでチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏したアラベラ・美歩・シュタインバッハーが候補です。捨てがたい方ばかりなのですが、歌好きの私としては、バロックかロットをとりたいところです。そのうちの一人となればかなり迷ってロットにします。それだけロットのマドレーヌは素晴らしいものでした。
2009年の感想のページに戻る(前半・後半)2009年12月29日記
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