誕生日のラムケーキ

書誌事項

誕生日のラムケーキ
庄野潤三著
随筆集
1991年4月20日第一刷発行
講談社、1600円、ISBN4-06-205361-6
初出:1985年から1991年各雑誌、新聞等

紹介

昭和60年から平成3年に掛けて書かれた随筆・短文集。合計75編。内容は、自分の日常生活を短文にまとめたもの30編。自作や他の作家の作品に関するお話が二十数編。ラグビーの話が11編、残りがその他もろもろである。

その中には、自作の余話や宝塚の観劇の話がいくつか出ている。庄野さんは、阪田寛夫氏の次女大浦みずきの名付け親であるが、この随筆集が書かれた頃は、その大浦みずきが花組のトップに居た頃である。大浦みずきの命名の理由は、他の随筆集に書いてあるのかもしれないが、残念ながら、私は知らない。ただ、姓の大浦は、庄野さんの代表作である「夕べの雲」の家族の苗字が大浦である、ということは書いておいてもよいだろう。自分の親友の娘の芸名に自分の代表作の主人公の苗字をもって来るところが、一寸素敵だとおもう。

閑話休題。この時期の庄野さんは、昭和60年に脳内出血で倒れ、その後のリハビリなどで大変だった時期である。ある時期の随筆の数は極端に少なくなっている。しかし、6年の間に書かれた文章をランダムに読むと、病気によって生活は変わったのだろうが、作家の目がそれほど大きく変っていないことがわかる。

最近の庄野さんは、自分を中心とした夫婦の老後を書いているわけだが、10年前、最近の作品の登場人物はみんな若くして現れる。次男の娘のフーちゃんは、まだ3歳だし、長女夏子さんの末の息子、正雄君も5歳で登場する。勿論、昔の作品では、夏子さんが小学生だったり、中学生だったりするわけであるから、文章とはそういうものなのであろうが、なんとなく不思議な気分である。

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