|
◎どくたーT@管理人(253) 題名:「世をへだてて」は庄野文学のターニングポイントです。
投稿日
: 2002年6月10日<月>22時29分/東京都/男性/おじさん |
|
庄野文学を初期、中期、後期と分けるとしたら、「世をへだてて」は中期から後期への橋渡し的作品だと思います。今、庄野さんは、「喜びをひたすらに見つめて」書かれている訳ですが、このような自由な作風になられたのは、結局脳出血で死に直面したことが大きく影響されていると思います。その意味で庄野文学の晩年の入り口の作品と申し上げて良いと思うのです。
一方で、この作品は、テーマに沿って書く、という庄野文学中期の特徴もきちっと備えており、中期から後期への橋渡しというのはそういうことも含んでいます。
私は、この作品をリアルタイムでは読んでいないので、発表された当時の評価はどうであったか知らないのですが、わりと語られない作品です。
でもヘムヘム様のおっしゃるとおり、ある意味で非常に楽しい作品です。もっともっと読まれるといいなあ、と思います。
|
|
◎ヘムヘム(238) 題名:読了しました
投稿日
: 2002年6月3日<月>22時34分/大阪府/男性/40代前半 |
|
『世をへだてて』を今日読み終わりました。とても楽しい作品でした。入院中のしんどい日々を語りながら、全編に横溢するユーモアの感覚は、なんだかとても余裕しゃくしゃく。
たとえば、最後の「同室の人」にはこんな一節があります―「…白髪頭の私にクリスマスのパーティの席で歌なんか歌わせなくてもいい。そんな無茶をいってはいけない。いったい彼女たちは、どうして私に歌を歌わせようなどと考え出したのだろう。私にそんな器用な隠し芸があるわけが無い。」これは退院を目前にひかえた日の病院のクリスマスパーティの準備のことで、「彼女たち」とは看護婦さんのこと。ひょっとする潤三せんせいはまじめな口調でこれをおっしゃりたいのかもしれませんが、そこにはからずも穏やかなおかしみが流れているように感じます。それは本当に全編にいえることなのです。
ご自身の症状やあるいは病院の周囲の患者さんたちを語る言葉(時には夏子さんの記憶として)は、それでもやはり文学者としての観察眼を強く感じます。実は私も7年前に死を考えざるをえない病気で半年ほど入院しました。だからこの作品を読みながら当時の入院生活を、ある意味「懐かしく」思い出していたのですが、私は自分のことで精一杯でした。
でもまあ、私もいまは元気だし、潤三せんせいもとてもお元気そうだし、よかったなあとしみじみと思うのです。
ところでこの本の中で、潤三せんせいがご自身のことを「僕」と書いていらっしゃる箇所がありました。リハビリのさいに笑われたことを、「ふき出さなくったっていいだろう。僕は道化の真似をしてるんじゃないんだ…」というところ。失礼かもしれませんが、とてもほほえましく読みました。
ああ、よい読書だった(^o^) |
|
◎ききみみずきん(237) 題名:潤三違いで、まことに相すみません。
投稿日
: 2002年6月2日<日>23時27分 |
|
のどの痛みに飲んでいる花りん酒のせいにするわけではないのですが…(笑)
|
|
◎ききみみずきん(236) 題名:福原さんと庄野さん
投稿日
: 2002年6月2日<日>23時25分 |
|
福原麟太郎さんが、庄野順三さんの「ガンビア滞在記」を書評され、
お二人は近づきなにられたようです。
23度対談され、活字になっています。
庄野順三さんが大病を乗り越えた後の日々を、
福原さんの晩年の文章を枕に書き始めた本で、
私はこの枕が大好き。(笑) |
|
◎どくたーT@管理人(223) 題名:福原さんの作品は少し読んだことがあります。
投稿日
: 2002年5月20日<月>23時36分/東京都/男性/おじさん |
|
流石に明治生れの英文学者。結構気骨のある文章をお書きになります。
ラムの紹介者として有名です。
さて、以前に書いたように、講談社の日本文学大事典の福原さんの項は、潤三せんせいがお書きになられています。今、その項を読み返しているのですが、事典の一項目でありながら、いい文章です。今日は無理ですが、近いうちにどのような文をお書きになっているか、紹介したいです。
|
|
◎ヘムヘム(222) 題名:読んでみます
投稿日
: 2002年5月20日<月>08時48分/大阪府/男性/40代前半 |
|
『世をへだてて』はずいぶん以前に古本屋で初版を見つけて入手したままになっていたので、ここの話題に上がったのをきっかけにして次に読んでみます。
この本のあとがきに書名の由来が書かれていて、福原麟太郎さんへの感謝をこめてということのようです。福原さんの著作も入手しがたくなりましたねえ。
|
|
◎どくたーT@管理人(213) 題名:「夜をへだてて」
投稿日
: 2002年5月17日<金>23時48分/東京都/男性/おじさん |
|
まめぞう様
遂に「ミミリー」ご入手とのこと、おめでとうございます。庄野潤三、北村薫、小沼丹、そして阿部昭ですか。私は阿部昭の作品は今まで一度も読んでいないと思います。それ以外の3人の雰囲気はよく分ります。
「夜をへだてて」ですが、作品の概要は「主要作品を読む」のコーナーに書いてありますので、それをごらん下さい。作品を書かれていた時期が退院なされて間もなくからですので、幻想的な雰囲気も一寸感じられますが、一方で、自分の現実を厳しく見つめる作家の目があり、冷静な作品です。実際は緊迫していたのでしょうが、作品から見えるのものは淡々としていて且つ詳細です。
|