日本でのオペラQアンドA

オペラ未経験者がよくする20の質問のお答え

(1)オペラってなんですか?

 歌唱が劇の進行に最も重要な要素となる劇。ある国語辞書の定義によれば、音楽、演劇、文学、舞踏、美術などを総合した音楽劇だそうです。オペラの語源は、ラテン語のOpusの複数形。Opusとは作品のことで、現在でも例えば、ベートーヴェン作曲交響曲第五番ハ短調Opus67、といった風に使われます。最初Opera in musicaと呼ばれていた(直訳すれば音楽作品!)ものが、略されてオペラと呼ばれるようになったそうですから、オペラを完成させたとさせるカメラータのメンバーも、オペラこそが音楽の王道であると考えていたのでしょうね。
 オペラが誕生してから400年も経過すると、カメラータのメンバーが考えたオペラと現在オペラと考えられるものが同じものではなく、その範囲は広がっているようです。しかし、その間一貫して変わらなかったのは、オペラは歌がドラマを引張っている、というだけかもしれません。
 というわけで、オペラとは、「歌がドラマを引張っている舞台作品」というのが一番簡潔で正しい定義でしょう。
 しかし、この定義は、あまりにも広すぎて曖昧模糊としています。そこで、現在、実際にオペラとして上演されている作品に即して考えると、共通した構造がいくつかあります。
 まず、オペラは台詞に音楽が付いています。音楽は、独唱者と合唱と管弦楽によって構成されることが多いです。独唱者は、名前の付いた登場人物を演じます。役柄に応じて、声の高さやふさわしいトーンが決まっているのが普通です。独唱者は大抵独唱するか、独唱者同士で重唱します。独唱者の歌う歌は、一つ一つが完結した歌であることが多く、この歌をアリアといいます。アリアは旋律が豊かで、登場人物の心情を吐露するシーンで歌われることが多いのですが、独唱者は、アリアとアリアを繋ぐ地の台詞を音楽に乗せて語るレチタティーヴォも歌って、ドラマの変化を聴衆に教える役目もします。作品によっては、音楽のつかない台詞をいう場合もあります。合唱団は多くの場合群集であり、合唱だけで歌う場合と独唱者と共に歌う場合とがあります。管弦楽は、歌の伴奏をし、登場人物の心情や性格、行動などを描写したり強調したりしますが、序曲、前奏曲、間奏曲のようにオーケストラのみで演奏される場合も少なくありません。
 特別な現代オペラなどは別として、オペラとは、管弦楽、独唱、重唱、合唱を台本に即して繋ぐことにより上演される音楽劇、というのがわかり易いかも知れません。

(2)オペレッタってなんですか?

 もともとは「小さいオペラ」という意味で、その名の通りの作品も上演されていますが、19世紀中頃より歌や踊りを伴った大衆向けの喜劇的音楽劇を指すようになりました。大きな意味でのオペラの一ジャンルです。喜歌劇の実質的創始者はオッフェンバックで、ズッペ、ヨハン・シュトラウス2世、ミレッカー、ツェラー、サリヴァン、レハール、カールマン、ロンバーグといった作曲家達が作品を発表しています。
 いわゆるオペラよりも聴き易い作品が多く、オペラの入門にも打ってつけです。といって芸術的に低レベルというわけでもなく、代表的なオペレッタである「こうもり」や「メリー・ウィドゥ」は、下手なオペラよりもはるかに音楽的充実感があります。

(3)オペラとミュージカルの違いはなんですか?

 ミュージカルはオペレッタから発展した一形態ですので、広義にはオペラの一ジャンルといって良いと思います。また、ミュージカルとして最も優れた作品(例えば、「ウェストサイド物語@バーンスタイン」や「マイ・フェア・レディ@ロウ」)は、オペラ劇場での上演が行われることがあり、その点から見ても、ミュージカルとオペラとを殊更区別する必要はないように思います。
 それでも区別するとすれば、ミュージカルはマイク(あるいは増幅装置)を使うことを拒否しない音楽劇であり、オペラはマイク(あるいは増幅装置)を原則として使用しない音楽劇であるということだと思います。しかし、この違いはある意味では決定的な差です。マイクを使用出来ないことにより、オペラに出演する歌手は、会場全体にきこえるような声と表現力を持っていなければならず、その専門性は、ミュージカルに出演する歌手よりはるかに高いものになります。

(4)オペラのキーワードって何ですか?

 オペラはとりあえず聴けばそれで良いと思いますが、オペラの世界をそれなりに知るためには、いくつかの専門用語を知っていた方がより理解しやすくなるのも確かでしょう。これからオペラを聴こうとする全くの初心者にとって、知っておいた方がよい用語とその意味を簡単に記します。

アリア:オペラの聴かせ所の独唱曲。オペラの中で独唱で歌われる曲には、シェーナ、レチタティーヴォ、カヴァティーナ、ロマンツァ、セレナードなど、色々なものがありますが、シェーナ、レチタティーヴォ以外は、アリアの一ジャンルと覚えていて何ら問題がないです。

レチタティーヴォ:アリアとアリアとの間を繋ぐ、非旋律的な独唱曲。チェンバロなどの通奏低音で伴奏される、レチタティーヴォ・セッコとオーケストラが伴奏するレチタティーヴォ・アコンパニャートに分けられます。

重唱:独唱者が二人以上で歌う曲。二重唱、三重唱、四重唱、五重唱、六重唱、七重唱、それぞれに名曲があります。

合唱:合唱団によって歌われる曲。オペラには合唱の名曲もたくさんあります。

以上の曲の分類と、声の高さの分類を知っていれば、とりあえずオペラの話は出きるはずです。なお、声の高さについては次の質問で。

(5)ソプラノとかテノールってどういうことでしょう?

声の種類です。人の声は、性別、高低によっていちおう次の6つに分けられます。女声の高い順から、ソプラノ、メゾソプラノ、アルト。その下が男声で、テノール、バリトン、バス。とりあえずこの程度は知っていた方が、オペラを聴く上では便利です。声の種類と役柄は多くの場合決まっておりまして(例外多数)、ソプラノは可憐なヒロインか少女、メゾ・ソプラノ/アルトは脇役の侍女や母親、あるいはズボン役と称して少年。メゾ・ソプラノが主役を演じる時は、カルメンやデリラのような悪女タイプが多いです。テノールはヒーローかもてる男役。バリトン/バスは、悪役・敵役から聖人、喜劇的キャラクターまで幅広く演じます。

(6)オペラはどうすると見ることができますか?

 一番お金がかからず簡単に楽しめるのは、テレビで見る方法です。BS放送が一般的でなかったころは、NHK教育放送でごくたまに放映していましたが、最近はほとんど放映されなくなり、専らBS第二放送です。BS第二放送の土曜日の深夜というよりも日曜日の早朝にしばしば放送されています。
 特定の演目を見たい場合は、DVDやビデオを購入するという方法があります。これらは一寸お金がかかるのが難点ですが、世界の一流歌手が登場し、一流指揮者が演奏していることが多いので、聴きごたえのある演奏になっていることが多いです。
 でも私は、こういった録画を見るよりも劇場でライブで楽しんで欲しいと思います。首都圏では毎日のように何らかのオペラが上演されていますし、地方でも、1年に1度もオペラが上演されない県は少なくなりました。こういった生のオペラはそのレベルはDVDに録画された世界の一流歌劇場とは全く違ったレベルでしょうが、出演者の熱気は世界の一流歌劇場に負けないものがあるとも言われます。
 これらの生オペラは上演情報を丹念に調べて行くとわりとあるものです。その切符を購入し、当日劇場に行きさえすれば、あなたも生のオペラが見られます。

(7)最初に見るオペラは何がいいですか?

 最大公約数的なことをいえば、あまり長くなくて、有名な曲が多く含まれているものがよいと思います。私が勧めるのは、モーツァルト「魔笛」、ロッシーニ「セヴィリアの理髪師」、ドニゼッティ「愛の妙薬」、ヴェルディ「リゴレット」、「イル・トロヴァトーレ」、「椿姫」、ヨハン・シュトラウス2世「こうもり」、レハール「メリー・ウィドウ」、フンパーディンク「ヘンゼルとグレーテル」、ビゼー「カルメン」。以上10作のどれかを見て、オペラに全く興味を持てないとすれば、多分あなたはオペラに向いていないと思います。

(8)生のオペラを見たいのですが、どうしたらいいですか?

 情報誌、またはホームページをみて、オペラ上演の情報をまず探します。WEBサイトでは、「オペラがいっぱい」と「徒然なる部屋」がオペラ上演については充実しています。そこでめぼしをつけた上演のチケットを、「チケットぴあ」のようなプレイガイドで購入する、というのがいいと思います。
 ちなみに、東京では、メジャーな劇場の来日公演以外は、席種にこだわらなければ大抵当日券で入場出来ます。

(9)生のオペラはそんなにたくさんやられているのですか?

 本当に正確な数字は誰も知らないと思いますが、俗に年間700といわれています。私が勘定した2001年の上演総数は600を越えていました。勿論レベルはピン・キリです。最初聴くならば、可能であれば一流のものを経験したほうが良いです。東欧系以外の歌劇場の日本公演、または新国立劇場、二期会、藤原歌劇団主催公演がお勧めです。

(10)入場料はどれぐらいですか?どうやってチケットを入手するのですか?

 これこそ、ピンキリです。ここ10年間の例をとっても、無料から65,000円まで様々です。現在日本で一番オペラを上演している新国立劇場では、S席が18,900円もしくは21,000円、A席が15,750円もしくは17,850円、B席が12,600円もしくは13,650円、C席が9450円もしくは10,500円、D席が6300円、E席が3150円、Z席1500円です。
 海外オペラ劇場の来日公演のチケット代は、例外はありますがこれより高め、国内の中小オペラ団体の入場料はこれより安めです。
 チケットの入手方法は、電話予約、葉書予約、インターネット予約、窓口に並ぶ、プレイガイドの使用いろいろあります。一番確かなのは、主催団体に問い合わせることです。

(11)どの程度の席種で聴くべきですか?

 高い席は、多くの場合それなりの意味があります。ですから経済的に許される一番高い席種で聴くのがいいです。最安価のチケットの席は、舞台の一部が見えなかったり、音響が悪かったりすることがないとは言えません。ですから、初めてオペラ劇場にオペラを聴きに行かれる方は、最安値の切符の購入は避けた方が無難です。ちなみに、経済的に余裕がなく、出来るだけたくさん聴きたいと思っている私は、いつも入手できる一番安い席種で聴いています。

(12)生のオペラを聴く前に、予習はしたほうがよいですか?外国語で上演されるオペラの筋は分るものですか?

 そりゃ、しないよりはしたほうがより上演を楽しめます。でも、しないからといって、オペラを楽しめないかと言えばそんなことはありません。それなりに楽しめます。現在日本で上演されるオペラの多くは、字幕つき原語上演という形態をとっています。字幕を見て行けば、ストーリーは大体分ります。あまり肩肘を張らずに聴いた方がよいと私は思います。

(13)どんな服装で行くべきですか?

 欧米のオペラハウスのプレミエ(新上演)では、ドレス・コード(服装の基準)が示される場合がありますが、通常は何でも良い筈です。日本でドレスコードが示された例はほとんどないのではないかしら。ちなみに私は仕事帰りに行く時は背広、休日に行くときは綿パンとポロシャツのような普段着で行きます。燕尾服でもローブ・デコルデでも構わないことは言うまでもありません。あまり汚い恰好で行って、廻りの方に不快な思いをさせるのは、やらない方がいいでしょう。

(14)開演何分前に入場したら良いでしょうか?

 もし、ゆったりとした気分で上演を楽しみたいと思うのならば、30分ほど前に入って、バーでアペリティフを楽しむというのは乙です。オペラによっては、開演前45分からそのオペラの解説を行うというところもありますので、それを聞く、というのも良い選択です。
 もし、色々な事情で開演ぎりぎりの入場の場合は、兎に角時間に遅れないことです。幕が上がると、入場させてくれない劇場は少なくありません。

(15)上演時間はどれぐらいですか?

 これもピンキリですが、正味の上演時間+1時間と考えておけば、そう大きな間違いはないと思います。新国立劇場では「椿姫」の上演時間を2時間50分(休憩含め)、「カルメン」を3時間15分、と発表しましたが、実際は若干のロスタイムが発生し、「椿姫」の上演時間は約3時間でした。ワーグナーものは長い上演時間を必要とします。2002年7月の二期会「ニュルンベルグのマイスタージンガー」では6時間の上演時間を必要としました。

(16)お弁当を持って行ってもいいですか?休憩時間に飲みものは買えますか?

 劇場客席内では当然ながら食事は出来ません。でも、ロビーでお弁当を食べることは禁止されていませんし、現実に召しあがっている方も多数おられます。休憩時間の飲みものは常識です。ビール、ワインといったアルコール系飲み物、コーヒー、ジュースといったソフトドリンク、どちらも購入できます。劇場内で売られる飲み物の値段は決して安くないので、近くのコンビニから飲み物を買って持参する、というのも良くやられているようです。

(17)どんなところに注目して聴いたらいいのですか?

 いろいろと聴くべきところはあると思いますが、最初は、アリアや有名な合唱曲などを楽しめばよいでしょう。全くこれまでオペラを聴いたことがない人でも「アイーダ」の「大行進曲」や、「椿姫」の「乾杯の歌」は、どこかで耳にされていると思いますので。イントロや有名なメロディしか知らない曲が、結構長大な曲だったので、驚く、ということがあるかも知れません。
 いうまでもないことですが、衣装に注目して聴いても、舞台装置に注目して聴いても、誰も文句は言いません。

(18)退屈したら、寝てもいいですか?

どうぞ。ただし、鼾はかかないようにしましょう。

(19)オペラ上演に関する情報はどうやって手に入れるのが効率的ですか?

「ぴあ」のような情報誌をみる。インターネットでオペラ上演の情報をまとめているサイトを見る。「音楽の友」を見る。この三つがいいでしょう。メジャーな公演だと、新聞に取り上げられることもあります。地方の人は、インターネットで見るのが一番確実だと思います。お勧めのサイトは、「新国立劇場」、「藤原歌劇団」、「二期会」のサイトと、公演情報を集めている「オペラがいっぱい」と「徒然なる部屋」です。

(20)新国立劇場への行き方を教えて下さい。

新宿(新宿までの行き方は各自調べてください)から、京王新線(ホームは地下深いところです)に乗って、一つ目の初台でおります。初台駅中央口改札から出て、右に曲がり、道なりに進んで行くと、新国立劇場入り口に上がるエスカレーターが見えてきます。

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