オペラに行って参りました-2017年(その4)

目次

オペラ愛と体力 2017年7月30日 杉並リリカ「OPERAMANIA 2」を聴く
チャレンジ精神 2017年8月13日 かっぱ橋歌劇団第6回公演「アルジェのイタリア女」を聴く
少しずつ足りない 2017年8月13日 荒川区民オペラ「蝶々夫人」を聴く
     
     
     
     
     
     
     

オペラに行って参りました。 過去の記録へのリンク

2017年 その1 その2 その3 その4 その5 どくたーTのオペラベスト3 2017年
2016年 その1 その2 その3 その4 その5 どくたーTのオペラベスト3 2016年
2015年 その1 その2 その3 その4 その5 どくたーTのオペラベスト3 2015年
2014年 その1 その2 その3 その4 その5 どくたーTのオペラベスト3 2014年
2013年 その1 その2 その3 その4 その5 どくたーTのオペラベスト3 2013年
2012年 その1 その2 その3 その4 その5 どくたーTのオペラベスト3 2012年
2011年 その1 その2 その3 その4 その5 どくたーTのオペラベスト3 2011年
2010年 その1 その2 その3 その4 その5 どくたーTのオペラベスト3 2010年
2009年 その1 その2 その3 その4   どくたーTのオペラベスト3 2009年
2008年 その1 その2 その3 その4   どくたーTのオペラベスト3 2008年
2007年 その1 その2 その3     どくたーTのオペラベスト3 2007年
2006年 その1 その2 その3     どくたーTのオペラベスト3 2006年
2005年 その1 その2 その3     どくたーTのオペラベスト3 2005年
2004年 その1 その2 その3     どくたーTのオペラベスト3 2004年
2003年 その1 その2 その3     どくたーTのオペラベスト3 2003年
2002年 その1 その2 その3     どくたーTのオペラベスト3 2002年
2001年 その1 その2       どくたーTのオペラベスト3 2001年
2000年            どくたーTのオペラベスト3 2000年

鑑賞日:2017年7月30日
入場料:指定席5000円 6列25番

主催:杉並リリカ

OPERAMANIA 2

マリア・カラス没後40年
マリオ・デル・モナコ没後35年
エットレ・バスティアニーニ没後50年

ベルカントからリヒャルト・シュトラウスまで

会場:杉並公会堂・大ホール

出演者

ソプラノ 青木 エマ
ソプラノ 石原 妙子
ソプラノ 板波 利加
ソプラノ 岡田 愛
ソプラノ 大隅 智佳子
ソプラノ 岸 七美子
ソプラノ 山口 安紀子
メゾソプラノ 鳥木 弥生
メゾソプラノ 中島 郁子
テノール 及川 尚志
テノール 小笠原 一規
テノール 小野 弘晴
テノール 塩塚 隆則
テノール 城 宏憲
テノール 笛田 博昭
テノール 藤田 卓也
バリトン 木村 聡
バリトン 山口 邦明
ピアノ 服部 容子
ピアノ 藤原 藍子
司会・解説 フランコ 酒井

プログラム

  作曲家 作品名 歌曲名 歌手 ピアノ伴奏
1 ドニゼッティ ラ・ファヴォリータ 優しい魂よ 小笠原 一規 服部 容子
2 ベッリーニ ノルマ ああ、震えるのではない、邪悪な者め 大隅 智佳子/中島 郁子/城 宏憲 藤原 藍子
3 ヴェルディ エルナーニ エルナーニ、一緒に逃げて 石原 妙子 服部 容子
4 ヴェルディ イル・トロヴァトーレ 恋は薔薇色の翼に乗って 岸 七美子 服部 容子
5 ヴェルディ イル・トロヴァトーレ それでは私は貴女の息子ではないのか 中島 郁子/イル・トロヴァトーレ 藤原 藍子
6 ヴェルディ イル・トロヴァトーレ 聞いているか 岸 七美子/山口 邦明 藤原 藍子
7 ヴェルディ 仮面舞踏会 あの花を摘み取って 山口 安紀子 藤原 藍子
8 ヴェルディ 仮面舞踏会 永遠に君を失えば 藤田 卓也 藤原 藍子
9 ヴェルディ 仮面舞踏会 お前こそ名誉を汚すもの 木村 聡 藤原 藍子
10 ヴェルディ 仮面舞踏会 私が貴女と一緒だ 藤田 卓也/山口 安紀子 藤原 藍子
休憩
11 ヴェルディ 運命の力 アルヴァーロよ、隠れてもだめだ 及川 尚志/木村 聡 藤原 藍子
12 ヴェルディ ドン・カルロ お願いがあって、やってまいりました 板波 利加/イル・トロヴァトーレ 藤原 藍子
13 ヴェルディ ドン・カルロ 呪わしき美貌 中島 郁子 藤原 藍子
14 ヴェルディ ドン・カルロ 別れの日は来た 山口 邦明 藤原 藍子
15 ヴェルディ ドン・カルロ 世の虚しさを知る神 板波 利加 藤原 藍子
16 ヴェルディ 椿姫 さよなら、過ぎ去った日々 大隅 智佳子 服部 容子
17 ヴェルディ アイーダ おお、わが故郷 石原 妙子 服部 容子
18 ヴェルディ アイーダ 既に神官たちが待っている 及川 尚志/中島 郁子 服部 容子
19 ヴェルディ アイーダ 地上よ、さらば 笛田 博昭/石原 妙子/中島 郁子 服部 容子
20 ヴェルディ オテッロ 神かけて誓う 及川 尚志/木村 聡 服部 容子
21 ヴェルディ イル・トロヴァトーレ 貴女こそ私の恋人~恐ろしき焚火を見れば 笛田 博昭/岸 七美子 服部 容子
休憩
22 レオンカヴァッロ 道化師 プロローグ 木村 聡 服部 容子
23 レオンカヴァッロ 道化師 衣裳をつけろ 及川 尚志 服部 容子
24 レオンカヴァッロ 道化師 もう道化師じゃない 小野 弘晴/岸 七美子/木村 聡/山口 邦明 服部 容子
25 ジョルダーノ アンドレア・シェニエ ある日青空を眺めて 塩塚 隆則 服部 容子
26 ジョルダーノ アンドレア・シェニエ 祖国の敵 山口 邦明 服部 容子
27 ジョルダーノ アンドレア・シェニエ 胸像はそこね 塩塚 隆則/山口 安紀子 服部 容子
28 プッチーニ ジャンニスキッキ 私のお父さん 岡田 愛 藤原 藍子
29 リヒャルト・シュトラウス 四つの歌曲作品72 明日の朝 岡田 愛 藤原 藍子
30 越谷 達之助   初恋 岡田 愛 藤原 藍子
31 プッチーニ 妖精ヴィッリ 幸せな日に戻り 小野 弘晴 藤原 藍子
32 プッチーニ ラ・ボエーム 冷たい手を 藤田 卓也 藤原 藍子
33 プッチーニ ラ・ボエーム 私の名はミミ 青木 エマ 藤原 藍子
34 プッチーニ ラ・ボエーム 愛らしい乙女よ 小笠原 一規/青木 エマ 藤原 藍子
休憩
35 プッチーニ トスカ 歌に生き、愛に生き 山口 安紀子 服部 容子
36 プッチーニ トスカ 星は光りぬ 城 宏憲 服部 容子
37 プッチーニ 蝶々夫人 可愛い瞳の少女 岸 七美子/藤田 卓也 服部 容子
38 ビゼー カルメン 恋は野の鳥 鳥木 弥生 藤原 藍子
39 ビゼー カルメン 母親のことを話してくれ 笛田 博昭/青木 エマ 藤原 藍子
40 ビゼー カルメン 諸君の乾杯を喜んで受けよう 山口 邦明 藤原 藍子
41 ビゼー カルメン みなさまに敬意を表して踊ります~お前の投げたこの花は 城 宏憲/鳥木 弥生 藤原 藍子
42 ビゼー カルメン 何を恐れることがありましょう 青木 エマ 藤原 藍子
43 ビゼー カルメン あんたね、俺だ 笛田 博昭/鳥木 弥生 藤原 藍子
44 グノー ファウスト 清らかな住まい 小笠原 一規 服部 容子
45 リヒャルト・シュトラウス サロメ フィナーレ 大隅 智佳子 服部 容子
46 リヒャルト・シュトラウス エレクトラ 独りぼっちだ 板波 利加 服部 容子
  

感想

オペラ愛と体力‐OPERAMANIA2を聴く

 昨年、杉並リリカは「OPERAMANIA 詩人たちの愛と死~5人の詩人たちの肖像~」という公演を行いました。この公演は、「エフゲニー・オネーギン」、「ウェルテル」、「ラ・ボエーム」、「アンドレア・シェニエ」、「イル・トロヴァトーレ」という詩人の関係するオペラ5本のハイライトといった体で、15時から18時40分までの3時間40分、実に内容の濃いコンサートでした。私は、「ビフテキ二人前」と評し、大変脂っこい演奏会でした、と申し上げました。

 昨年でも通常のコンサート2本分の規模だったのですが、主催者のフランコ酒井は本年もっとマニアックな演奏会を企画しました。それが「OPERAMANIA2」です。昨年の3時間40分を更に3時間伸びる6時間45分の演奏時間、その間歌われたのが46曲、登場した歌手が18人とガラ・コンサートとしては巨大すぎる規模です。もちろん、演奏時間だけでいえば、コンクールや合唱祭のように今回以上に長い演奏会はもちろんあります。でもコンクールの予選を全部聴くのは審査員だけでしょうし、合唱祭は自分のブロックを聴けばそれで終わりというのが普通だと思います。そう思うと、ほんとうにお客さんが聴くことを目的としたコンサートで、6時間45というのは、かなり特殊だと申し上げてよいと思います。

 これほど長い演奏会は、観客も選びます。体力もあってかつオペラに愛を注げる方でないととても最後までいられません。その意味で、観客を選ぶ演奏会ではありました。 

 ただ、それがよいことか、と言えば、それは違うと思います。私のようなオペラマニアであれば、凄く楽しめるのですが、それほどオペラが好きではない方にとっては、敷居を高くする行為になっているのではないか、と思ってしまうのです。フランコ酒井が「杉並リリカ」を立ち上げたとき、彼はこの団体を通じて「オペラの裾野を広げたい」と抱負を語っていたと思います。このようなマニアックなコンサートが彼の最初の目的であった、「オペラの裾野を広げる」という行為に対し、残念ながら逆の効果が働いたのでは、という気がしています。 

 一方で、フランコ酒井だからこそ、このマニアックな演奏会ができたのだろうとも思います。彼のマニアとしてのパワーのなせる業がこの演奏会を成立させました。彼の聴かせたい気持ちはひしひしと感じられました。 

 さて、演奏ですが、全体的に粒ぞろいだったと思います。もちろん、個人個人の力量差はあり、それが感動の差になっている部分もあるとは思いましたが、聴けないレベルであるとか、プロとしていかがなものか、というレベルの方は皆無で、演奏する曲のよさを見せる力量に差があるレベルと申し上げましょう。 

 全体として凄さを感じさせた歌手としては、大隅智佳子を第一に挙げるべきでしょう。大隅が現時点での日本のソプラノ・リリコの一番の力の持ち主だとは思っておりましたが、それを再確認させていただきました。大隅の演奏した三曲はどれも本当に素晴らしいもので、感動するしかありませんでした。パワフルなノルマ、「さよなら、過ぎ去った日々」における表現のコントロールの見事さ、サロメのストイックなまでの表現力、どれをとっても本当に第一級で、比類ないものだったと思います。Bravaです。 

 大隅に対抗する実力者と言えば、まず笛田博昭を上げなければいけません。笛田が現時点での日本のテノール・ナンバーワンだと思っていますが、その実力を遺憾なく発揮されました。「イル・トロヴァトーレ」のマンリーコの大アリア。あそこまで完璧に歌われるとため息しかありません。そして「カルメン」のフィナーレの二重唱。鳥木弥生とがっぷり四つに組んだ横綱相撲で、本当に大一番だったと思います。 

 他によかったと思ったのは、ソプラノでは岸七美子、山口安紀子、板波利加、メゾソプラノでは中島郁子、鳥木弥生、テノールでは城宏憲、及川尚志、バリトンでは山口邦明でした。 

 もちろん、それ以外の歌手もそれぞれ素晴らしく、立派だったと思います。なお、今回、岡田愛という若手歌手が「新人紹介コーナー」にて紹介されたのですが、彼女の歌はリリックで美しいのですが、先輩たちのように音楽と歌手が一体になっているという感じはまだなく、それが初々しくはありますが、まだまだ勉強が必要であるとは思いました。 

 ちなみに今回演奏された46曲のうち、私個人としてのベスト12は、2番、4番、6番、10番、15番、16番、18番、21番、38番、41番、43番、45番でした。実はベスト10に絞りたかったのですが、とても絞り切れない。このほかにも、何曲も気に入った演奏はあったのですが泣く泣く選びませんでした。

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鑑賞日:2017年8月13日
入場料:自由席 3000円

主催:かっぱ橋歌劇団

かっぱ橋歌劇団第6回公演

全2幕 字幕付原語(イタリア語)上演
ロッシーニ作曲「アルジェのイタリア女」(L'Italiana in Algeri)
台本:アンジェロ・アネッリ

会場:サンパール荒川 小ホール

スタッフ

指 揮 箕輪 健太
ピアノ 河崎 恵
ヴァイオリン 勝部 弓理子
ヴィオラ 西村 葉子
チェロ 杉田 一芳
フルート 松野 健
合 唱 井澤 義男/岡村 北斗/坪内 清
小山 治彦/五島 泰次郎/鈴木 敬冶
ベリーダンス 矢口 美香/Mieko/Kaoru/Yumiko
演 出  たきざわ 勝彦
照 明 たきざわ 勝彦
舞台監督 鈴木 千鶴

キャスト

ムスタファ 堀内 士功
リンドーロ 野口 唯一
イザベッラ 齋 実希子
タッデオ 和下田 大典
エルヴィーラ 武田 千宜
ズルマ 八方 久美子
アリ 伊東 達也

感想

チャレンジ精神-かっぱ橋歌劇団第6回公演「アルジェのイタリア女」を聴く

 ロッシーニの作品が「セビリヤの理髪師」を除いてほとんど演奏されなくなった理由はいろいろあるのでしょうけど、一番重要な理由は多分「演奏がむつかしい」ということがあったと思います。私自身はロッシーニが好きで、ロッシーニのオペラ公演があるときは時間が許す限り行くようにしているのですが、なかなか満足できる演奏には出会わない。もちろん、新国立劇場や藤原歌劇団が満を持して世に問うような場合はそれなりに素晴らしい演奏になるのですが、藤原や二期会の本公演からはお呼びのかからないレベルの自主公演では満足できた例はこれまでほぼなかったと思います。

 今回の演奏も残念ながらこれまでの例に漏れなかったのですが、全体を通してみたとき問題点はいろいろあるけれども、そこそこ楽しめる程度にはまとまっていると思いました。まず一番良かったのが、第一幕のフィナーレのストレッタ。一番バカバカしい部分ですけど、一番崩壊しやすい部分でもあります。かなり練習したのだろうと思います。モールからとにかく突進し、それにみんながついて行って、スクラムトライを決めたという感じの演奏で、一糸乱れぬ切れ味、とまではいきませんでしたが、あの勢いと早口は称賛できるものだと思います。

 伴奏は弦楽三重奏にフルート+ピアノ、という構成だったわけですが、中途半端な物足りなさがありました。一人で受け持つ技術的な難しさもあり、音のバランス的にもオーケストラであれば揃わないことによるファジーな雰囲気でかえって良いということがあるのですが、常に楽器の音が裸なので、なかなか調和しないところもありました。特に序曲に違和感を覚えました。

 一方で、会場の狭さには満足しました。この作品、大ホールに向かない作品ではないと思いますけど、くすぐりも多いし、小さい劇場でやる方がその面白さがより分かりやすいということはあると思います。今回のサンパール荒川の小ホール席数にしたら二百前後だと思います。その広さゆえによく見える部分もありました。また、場面転換ごとに幕を引くのですが、その時「カラカラ」と音がするところなどもいかにも区民会館小ホールという感じでした。

 合唱は最初バスの音が不鮮明で、あれと思ったのですが、後半はまとまっていました。6人の合唱です。この人数だと一人一パートの部分もあったのでしょうね。そういう条件の割にはよく歌われていたと思います。

 ソリストには力の差がはっきりありました。一番良かったのは和下田大典のタッデオ。藤原の本公演に何度も出演されているだけのことはあると思います。歌唱、演技とも一番安定していてメリハリがありました。ソロはないのですが存在感は一番合ったと思うし、アンサンブルも彼が入ったアンサンブルの方が総じて引き締まっているように聴こえました。

 堀内士功のムスタファも悪くないと思いました。ただ、バッソ・ブッフォとして見たとき、ここぞの切れ味が今一つ乏しい。アリア「胸の中に異常な興奮が」はよかったと思いますが、例えば後半の四重唱などはもう少し存在感を示した方がよいのではないか、と思いました。

 野口唯一のリンドーロ。軽めに常に歌って、形を維持している、ということに関してはとても立派だったと思います。アジリダの技術は全然ですし、アリアにしても歌えるところはきっちり歌っていますが、そうでない部分は上手に逃げている感じで、歌として満足できたか、と言われれば否と言わざるを得ません。しかし、この方音の捕まえ方が上手なんでしょうね。アンサンブルに入るとしっかりリードしている。アリアよりもとっても良いと思いました。

 伊藤達也のアリ。第二幕のシャーベット・アリアはきちんと歌われていました。ただ、ムスタファとタッデォに挟まれた時存在感を示せていたかと言えば、なかなかそうは言えません。

 女性陣はタイトルロールの齋実希子に声の弱さを感じました。細かい歌詞など、口は動いている様子でしたが、アジリダは全然切れ味がないし、ドスの効いた低音もなく立体感の乏しい歌に終始していたと思います。重唱に入っても強い声の男声やソプラノに押されて一番声が飛んでこない感じ。登場のアリア「むごい運命よ」もすごく平板な感じで、この曲の魅力を引き出してはいませんでしたし、第二幕のアリアも魅力に乏しい。第二アリアのフィナーレの部分は重唱コーダになるわけですが、そこだけが盛り上がる感じは如何なものかと思いました。またフィナーレ前のロンドも今一つの出来でした。

 武田千宜も今一つ。アンサンブルでの高音はしっかり出ていて存在感は示していましたが、音楽の流れに沿った存在感という観点ではちょっと唐突な感じがありました。一方スールマ役の八方久美子はしっとりとした声で、また安定もしており、アンサンブルの核としての役割を果たしていたと思います。

 以上、ソロはロッシーニを魅力的に歌うという観点では今一つの連続だったわけですが、アンサンブルは練習の効果が出ており、楽しめる部分が多かったと思います。また演技のタイミングなどもそれなりにあっており、まとまりはありました。チャレンジをしただけの甲斐はあったのでしょう。

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鑑賞日:2017年8月13日
入場料:B席 20列27番 2000円

主催:荒川区民オペラ
共催:荒川区、荒川区民交響楽団、公益財団法人荒川区芸術文化振興財団

荒川区民オペラ第18回公演

全3幕 字幕付原語(イタリア語)上演
プッチーニ作曲「蝶々夫人」(Madama Butterfly)
台本:ジュゼッペ・ジャコーザ/ルイージ・イッリカ

会場:サンパール荒川 大ホール

スタッフ

指 揮 小﨑 雅弘
オーケストラ 荒川区民交響楽団
合 唱 荒川区民オペラ合唱団
合唱指揮・副指揮 新井 義輝
演 出 澤田 康子
舞台美術 大仁田 雅彦
照 明 稲葉 直人
音 響 山崎 英樹/斎藤 貴洋
舞台監督 村田 健輔

キャスト

蝶々夫人 西本 真子
ピンカートン 田代 誠
シャープラス 福山 出
スズキ 杣友 恵子
ゴロー 横山 慎吾
ボンゾ 志村 文彦
ヤマドリ 星田 裕治
ケート 杉山 由紀
神官 笹倉 直也
公証人 金井 龍彦
子供 上田 このは

感想

少しずつ足りない-荒川区民オペラ第18回公演「蝶々夫人」を聴く

 荒川区民オペラの特徴というのか、オーケストラの特徴なのかもしれませんか、進まない、というのがあると思います。昨年の「アイーダ」でそれを強く感じました。もちろんそれは好ましいことではありません。本年も昨年と同じ指揮者、同じオーケストラですから、同じような感じになるのではないかと心配していたのですが、案の定進まない感じがありました。ただ、昨年と異なるところは、昨年は歌手が引っ張っていく感じがなかったのですが、今年は歌手が先行してオーケストラが後からついて行く感じで、流れを確保していたようです。

 そういうわけで、今回はオーケストラと歌手とのタイミングが合っていない感じのところが所々あったのですが、もっと指揮者が動いて統制していかなければいけないのかな、と思いました。昨年は小﨑雅弘は何もできなかったという印象なのですが、今年も自分から音楽を作り上げていこうとする意志はあまり感じられませんでした。あともう一つ申し上げたいのは、毎年8月に公演を組んでいるわけですから、それに向けてオーケストラの技術も少しでも上げていくような努力をしてほしいとは思います。みんなもっと上手に演奏できるのではないか、という気がしました。

 合唱についてももう少し鍛えてもよいのではないでしょうか。男声はほとんどがエキストラのようでそれなりの力量だったと思いますが、女声が弱い感じがしました。

 歌手陣ですが、まず主役の西本真子、頑張りました。蝶々夫人は役柄として中低音に力がないと様にならない訳ですが、そこをしっかり歌われていたと思います。一方高音への切替えは必ずしも上手くいっていなかった感じで、やや金切り声になる部分や、上行形の途中で音が上がり切れていない部分があったように思いました。それでも役をよく理解した歌で、演出も関係しているのだろうと思いますが、演技や歌唱に若々しさを感じさせる部分があり、良かったと思います。申しあげるまでもなく、蝶々夫人は18歳で亡くなるわけですが、大ソプラノが歌うと、堂々としすぎて「年増の深情け」のように聴こえてしまうことも多いのですが、今回の西本真子は、ちょっとした動きに若々しさがあって、18歳を感じさせるものでした。

 杣友恵子のスズキもしっかり歌われていました。今回の演出は多分蝶々夫人とスズキの年関係を意識しているように思いました。もちろんスズキが年上です。二人の関係をみていると歌唱もそこがしっかり見えていましたし、二重唱も綺麗にハモっていてよかったです。

 一方田代誠のピンカートン。今一つでした。昨年のラダメスほどではもちろんないのですが、高音の伸びが今一つでしたし、年齢的な問題があるのか、いろいろな部分で上手くいっていない感じがありました。「蝶々夫人」では冒頭の「さすらいのヤンキーは世界中どこでも」でピンカートンの能天気さを示すわけですが、能天気なことは分かりましたが、凄い若作り感があってしっくりこなかったと思います。

 福山出のシャープレス。シャープラスは常に傍観者ですから、特徴を出す歌い方は必要ないのでしょうが、もう少しけれんを見せてもいいように思いました。丁寧できっちり歌っているとは思いますが、そこで安住している感じで、もう一歩踏み出してもよいのではないかと思いました。

 それ以外の脇役ではゴローの横山慎吾が役割を果たしていました。それ以外の脇役の方はベテランも多く、きっちりと自分の役割を果たしていました。

 澤田康子の演出は蝶々夫人を落ち着いた明治の女として見せるよりも若々しい少女として見せようとしたように思いました。それはちょっと新鮮だったかもしれません。

 以上全体としては昨年の「アイーダ」よりはずっと音楽になっていましたが、改善点も多く、いまいち物足りなかったかな、というのが全体の印象です。

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