どくたーTのオペラベスト3 2014

第1位  10月26日 新国立劇場公演
モーツァルト作曲「ドン・ジョヴァンニ」
日本語字幕付イタリア語上演 会場 新国立劇場オペラパレス

第2位 11月2日 藤原歌劇団公演

プッチーニ作曲「ラ・ボエーム」
日本語字幕付イタリア語上演 会場 オーチャードホール

第3位  8月23日 仙台市/公益財団法人仙台市市民文化事業団主催公演
三善晃作曲「遠い帆」
日本語字幕付日本語上演 会場 新国立劇場中劇場

ベスト歌手
妻屋 秀和(バス)

優秀賞 
ロッシーニ作曲「オリィ伯爵」(藤原歌劇団公演 東京文化会館大ホール 2/2)
ヨハン・シュトラウス二世作曲「こうもり」(石川県立音楽堂×東京芸術劇場共同制作公演、東京芸術劇場、2/20)
ベルグ作曲「ヴォツェック」(新国立劇場公演、新国立劇場オペラパレス、4/8)
プッチーニ作曲「蝶々夫人」東京二期会公演、東京文化会館大ホール、4/27)

ヴェルディ作曲「アイーダ」(杉並区民オペラ公演、杉並公会堂、7/19)
ワーグナー作曲「パルジファル」新国立劇場公演、新国立劇場オペラハウス、10/14)
ヴェルディ作曲「ドン・カルロ」新国立劇場公演、
新国立劇場オペラハウス、12/6)
(優秀賞は上演順)

特別賞
ドビュッシー作曲「ペレアスとメリザンド」 (NHK交響楽団第1796回定期演奏会、NHKホール、12/5)

選考理由

  2014年に私が観劇したオペラ上演は44回45本、仕事の都合で、平日夜公演の鑑賞が難しくなった割には、よく出かけています。よっぽど好きなのでしょうね。行った公演も、市民オペラ、大学オペラ、東京二期会、藤原歌劇団、新国立劇場の本公演までさまざまな上演を見ました。

 全体的な感想を申し上げれば、2013年の低調とは打って変わって、素晴らしい上演を何度も聴けた一年でした。上にベスト10の演奏を上げましたが、泣く泣く落とした演奏もいくつかあります。例えば、東京オペラプロデュースの「ミレイユ」。音楽的には悪くなかったのですが、演出が舞台をぶち壊していた東京二期会の「イドメネオ」、同じく東京二期会の「チャールダーシュの女王」、昭和音大の「夢遊病の女」も、選べるなら選びたかった公演です。

 もう一つ申し上げておくべきことは、2014/15シーズンの新国立劇場の好調な発進です。「パルジファル」、「ドン・ジョヴァンニ」、「ドン・カルロ」と三演目が終了した時点での評価ですが、ここまで高水準の上演をシーズン開始から続けたのは新国立劇場始まって以来と申し上げても良いかもしれません。ナショナルフラッグシップの劇場が、素晴らしい公演を立て続けに行うことは、日本のオペラ文化の水準の向上を示すものですから、大いに喜ばなければいけません。この良い傾向が、新年も続いていってくれることを深く祈念します。

 選択した優秀公演を簡単に総括します。

 藤原歌劇団の「オリィ伯爵」は、AB両キャストとも聴きましたが、採ったのはBキャストの方。シラクーザの素敵な声と光岡暁恵の若いストレートな表現がとても良かったと思います。
 東京芸術劇場の「こうもり」。小川里美の溌剌したロザリンデ、きりっとしまった台本、西村雅彦の何とも言えないフロッシュの演技など、都会的こうもりの味を楽しみました。
 新国立劇場「ヴォツェック」再演。ツィトコーワのマリーが素晴らしく、ニゲルのヴォツェックも表情の豊かな表現で素晴らしいと思いました。
 東京二期会「蝶々夫人」。木下美穂子の蝶々さんが最高に素晴らしい。今年は、新国立劇場、藤原歌劇団、二期会と東京の三大団体が「蝶々夫人」を取り上げましたが、二期会がベストでした。木下の蝶々夫人は、私がこれまで聴いた蝶々夫人の中で最高ではなかったかと思います。
 杉並区民オペラの「アイーダ」。市民オペラでもちょっと頑張ればここまでやれるという実例。2013年のへたれ公演とは全然違う名演。指揮者、オーケストラ、合唱共にレベルを上げました。青蜻f晴のラダメスと杣友恵子のアムネリスもとても良かった。
 新国立劇場の「パルジファル」。本年のベスト1に選ばれても全然おかしくない名舞台。クプファーの舞台が「パルジファル」のお話の本質を抉ります。飯守泰次郎の指揮は、流石日本のワーグナー第一人者だけのことはあります。歌手たちも上々。ワーグナー嫌いの私が惚れ惚れする名演奏。
 新国立劇場「ドン・カルロ」。本年は東京二期会もモデナ5幕版で2月に取り上げました。私はモデナ版の方が好きなのですが、演奏の出来は、ミラノ4幕版でやった新国立劇場の方がはるかに上でした。第三幕第一場のフィリッポと宗教裁判長のバス同士のやり取りの激しさは、本当に聴き応えがありました。

 特別賞のN響は演奏会形式ですから特別賞ですが、音楽の出来という観点から申し上げれば、今年の最高のものです。デュトワ/N響の実力の凄さとフランス人を中心に集めた歌手たちの魅力は、筆舌に尽くしがたい素晴らしさがありました。

 さて、どくたーTの選ぶ今年のベスト3ですが、第3位は三善晃の「遠い帆」にします。三善の生涯唯一のこのオペラ作品は、合唱作品を得意とした三善晃らしい合唱中心のオペラですが、その合唱が「入魂の一声」ともいうべき素晴らしいものでした。児童合唱を担当したNHK仙台少年少女合唱隊も大変素晴らしかったです。日本の創作オペラ史史上屈指の名作であるこの作品を、非常に上質に演奏されたという点で、ベスト3の一曲として選びたい。

 第二位は藤原歌劇団の「ラ・ボエーム」にします。但し二日目のBキャスト。この藤原のボエームは、フリットリのミミで前評判が高かったのですが、フリットリより砂川涼子のミミの方が格段に素晴らしく、ロドルフォの村上敏明だってフィリアノーティとは比較にならないくらい良かった。オーケストラだって、オール日本人キャストの二日目の方が良かったです。まとまりの良い落ち着いた名演奏と申し上げましょう。

 第一位は新国立劇場の「ドン・ジョヴァンニ」にします。上記の通り、2014/15シーズンの新国立劇場は、非常に充実していて、私は、最初は、「パルジファル」、「ドン・ジョヴァンニ」、「ドン・カルロ」で1,2,3位にしようかなと思ったほどです。しかし、それではあまりにヴァラエティに欠けると思い、この選択に直したものです。その三演目の中で、私が一番良いと思ったのは、「ドン・ジョヴァンニ」でした。とにかく、全てが高水準でまとまっていて、歌手もオーケストラも裏方もスムーズに流れ、このモーツァルトの傑作に全て奉仕しているという感じがあって、とても良かったです。

  さて、今年のベスト歌手ですが、今年印象的な日本人歌手は、光岡暁恵(アデール)、小川里美(ロザリンデ、ムゼッタ)、福井敬(ドン・カルロ)、山下牧子(ブリギッタ、マルグレート、草乃)、木下美穂子(蝶々夫人)、小林由佳(スズキ、イダマンテ)、砂川涼子(パミーナ、ミミ)、杣友恵子(アムネリス)、青蜻f晴(猪鹿蝶「鹿」、ラダメス)、村上敏明(ロドルフォ、レノマ伯爵)、小森輝彦(支倉常長、フェリ・バーチ)、長谷川顯(ティトゥレル)、村上公太(ポニ)など沢山いらっしゃいましたが、脇役でしか出演がないにもかかわらず、その演技、歌唱の迫力で、主役を食ってしまうことが珍しくない妻屋秀和にします。彼の歌唱は、本年、フランク(こうもり)、医師(ヴォツェック)、ズニガ(カルメン)、ヴァルトナー伯爵(アラベッラ)、騎士長(ドン・ジョヴァンニ)、宗教裁判長(ドン・カルロ)と聴きましたが、どれも素晴らしい。ことにヴァルトナー伯爵、騎士長、宗教裁判長が良く、「ドン・カルロ」第三幕におけるフィリッポ二世と宗教裁判長とのやり取りは、妻屋の演技の素晴らしさもあって、本当に聴きものでした

 2014年のオペラ公演におけるどくたーT的ベストは以上のとおりです。尚、例年の如く本選考に賞品はありません。選ばれた方・上演には、「おめでとうございます」を申し上げます。

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