どくたーTのオペラベスト3 2013

第1位  9月22日 オペラ彩公演
ヴェルディ作曲「マクベス」
字幕付原語上演 会場 和光市民文化センター「サン・アゼリア」大ホール

第2位 3月24日  新国立劇場公演

ヴェルディ作曲「アイーダ」
字幕付原語上演 会場 新国立劇場オペラパレス

第3位  11月24日 NISSEI OPERA 2013
ベートーヴェン作曲「フィデリオ」
字幕付原語上演 会場 日生劇場

ベスト歌手
小鉄 和広(バス)

優秀賞 
ロータ作曲「ノイローゼ患者の一夜」/「内気な二人」(国立音楽大学音楽研究所 オペラ演奏研究部門公演、国立音楽大学講堂 1/13)
ヨハン・シュトラウス二世作曲「こうもり」(東京二期会オペラ劇場公演、東京文化会館、2/23)
モーツァルト作曲「魔笛」(新国立劇場公演、新国立劇場オペラパレス、4/21)
ベッリーニ作曲「異国の女」南條年章オペラ研究室公演、津田ホール、8/4)

ヴェルディ作曲「ラ・トラヴィアータ」(藤原歌劇団公演、新国立劇場オペラパレス、9/7)
ロッシーニ作曲「マホメット二世(抜粋)」日本ロッシーニ協会公演、紀尾井ホール、10/11)
ライマン作曲「リア」日生劇場公演、
日生劇場、11/9)
(優秀賞は上演順)

特別賞
モーツァルト作曲「ドン・ジョヴァンニ」(labo opera絨毯座 実験室vol.6、北とぴあ つつじホール、8/20)

選考理由

  2013年に私が観劇したオペラ上演は43回44本、若い歌手たちの自主公演から、東京二期会、藤原歌劇団、新国立劇場の本公演までさまざまな上演を見ました。残念だったのは、スケジュールの都合で音大が制作するオペラを見られなかったことです。昭和音大オペラと国立音大大学院のオペラ上演は毎年聴いておりましたので、今年聴けなかったのは残念ですが、それでもずいぶん色々な舞台を聴かせて頂いたな、というのが正直なところです。

 それだけ聴いた中で自分が思うのは、今年の上演の低調ぶりです。東京の主要なオペラ制作団体は現在4つ。新国立劇場、東京二期会、日本オペラ振興会、東京オペラプロデュースとあるわけですが、その中で特に重要である新国立劇場、東京二期会、日本オペラ振興会の三団体の上演がいずれもここ数年の中で一番見るべきものが少なかった一年だったと思います。ベスト10に入っているものは、相対的に見ればまだまし、というものです。

 新国立劇場が典型的だと思います。2012年は、「ローエングリン」、「ピーター・グライムス」という優れた舞台を送り出した新国でしたが、本年のプレミエ、「ナブッコ」と「リゴレット」、はっきり申し上げればどちらも外れでした。演出家の意図が空回りするだけの舞台と申し上げましょう。二期会もいけません。ここ数年、瞠目すべき舞台を送り続けて来た二期会も遂に息切れしたということなのでしょうか。「こうもり」はともかく、鳴り物入りの「マクベス」も、「ホフマン物語」もあまり良いものではありませんでした。藤原歌劇団だって、昨年の「フィガロの結婚」、「夢遊病の女」と比べた時、本年の「仮面舞踏会」、「トラヴィアータ」が、とても立派とは申し上げられません。

 以上、主要な団体が総崩れだと、マイナーな団体の演奏にとても素晴らしいものがあったとしても、年間のトレンドとしてはやはり低調と申し上げなければいけないように思います。

 選択した優秀公演を簡単に総括します。

 国立音大音楽研究所のロータの作品は、日本では映画音楽作曲家として認知されるロータの一面を示すのに適当なもの。小鉄和広や井ノ上了吏の好演が光ります。
 東京二期会の「こうもり」は、関西風ノリの演奏で、東京のお客さんにはあまり受けなかったけど、今年の東京二期会本公演の中では、間違いなく一番の舞台と申し上げましょう。
 新国立劇場の「魔笛」は何度も上演を繰り返している舞台ですが、それだけに安心できます。その安定感を評価しての選択です。
 ベッリーニの「異国の女」は日本初演。声楽指導者の一教室がこんな作品を取り上げることの志を評価します。演奏も素敵でした。
 藤原歌劇団の「ラ・トラヴィアータ」は、西村悟の柔らかいテノールと佐藤亜希子の清新なヴィオレッタを評価しての一票です。
 ロッシーニ協会の「マホメット二世(抜粋)」は、若手のロッシーニ歌手たちの誕生を予言させるような演奏を評価しての選出です。。
 日生劇場の「リア」はこのような現代オペラを昨年に引き続きしっかり企画してくれる日生劇場への敬意と、下野竜也指揮読売日本交響楽団の頑張り、主役の小鉄和広の表現が非常に素晴らしかったことを評価しています。

 特別賞の絨毯座の「ドン・ジョヴァンニ」は、出演者たちにとっては評判が良くなかったらしいのですが、実験というだけあって、ドンナ・エルヴィラを黒田博に歌わせてしまうという極端さを評価します。これから何が生まれるのか、という点については何もないのかもしれませんが、どうせアナーキーにやるのであれば、これ位ぶっ飛んでくれて悪いことはないのかな、と思います。

 さて、どくたーTの選ぶ今年のベスト3ですが、第3位は日生劇場の「フィデリオ」にします。演出は必ずしも良いとは思いませんでしたが、飯守泰次郎指揮の新日本フィルの演奏が良かったこと、歌手陣も総じて立派だったことを踏まえると、第三位ぐらいが妥当な線ではないかという気がします。実は「リア」をベスト3に持って来ようかと最後まで迷ったのですが、「リア」の音楽を自分が咀嚼しきれていないことを踏まえれば「フィデリオ」を優先すべきかなと思いました。

 第二位は新国立劇場15周年記念の「アイーダ」にします。これは新国立劇場杮落しの時に制作された豪華絢爛・派手派手舞台の典型ですが、私はこのようなバブリーな舞台が実は好きです。勿論それだけでの選出ではありません。演奏自身も魅力的だったことを踏まえての選出です。 指揮、オーケストラ、歌手が皆立派で、舞台の華やかさも相俟って、新国立劇場開場15周年を祝うにふさわしい舞台に仕上がっていましたので、この選択は妥当な線でしょう。

 第一位はオペラ彩の「マクベス」にします。この舞台についてはある関係者から裏話をお聞きする機会があって、あの本番が出来たのは稀有な偶然が重なってのことのようですが、私が現実に目にした舞台は本当に立派で素敵なものでした。主役の須藤慎吾、マクベス夫人の小林厚子が共に素晴らしく、資金的な余裕のない市民オペラ特有の簡素な舞台であったにも係らず、大変聴き応えのある演奏でした。私が今年のベストワンに推すに何ら躊躇するものではありません。

  さて、今年のベスト歌手ですが、今年は男声低音系に魅力がありました。良く聴いたという意味では須藤慎吾の活躍が目立つところです。ジェルモン、マクベス、ドン・ピツァロ、マホメットなど八面六臂の活躍でした。堀内康雄も藤原「仮面舞踏会」におけるレナート、新国立「アイーダ」におけるアモナズロ、ジェルモンなどで気を吐きました。斉木健詞も「フィデリオ」におけるロッコが素晴らしかったです。絨毯座「ドン・ジョヴァンニ」における、志村文彦の悲しみとおかしみがごたまぜになった表情にも惹かれます。二期会「こうもり」における萩原潤のアイゼンシュタインも忘れてはいけません。こういったバリトン陣の活躍の中で、私が選択するのは小鉄和広です。「リア」における主人公の絶望の繊細な表現はとても素晴らしいものがありました。また正月の「ノイローゼ患者の一夜」における演技も魅力がありました。

 2013年のオペラ公演におけるどくたーT的ベストは以上のとおりです。尚、例年の如く本選考に賞品はありません。選ばれた方・上演には、「おめでとうございます」を申し上げます。

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