どくたーTのオペラベスト3 2011

第1位 10月9日 昭和音楽大学オペラ公演
ヴェルディ作曲「ファルスタッフ」
字幕付原語上演 会場 テアトロ・ジーリオ・ショウワ

第2位 11月11日  北とぴあ国際音楽祭2011公演

モーツァルト作曲「コジ・ファン・トゥッテ」
字幕付原語上演 会場 北とぴあ・さくらホール

第3位 11月13日 NISSEI OPERA 2011公演
團伊玖磨作曲「夕鶴」
字幕付原語上演 会場 日生劇場

ベスト歌手
三浦 克次(バスバリトン)

優秀賞 
ヴェルディ作曲「椿姫」(新国立劇場公演、新国立劇場オペラパレス 2/14)
ドニゼッティ作曲「ランメルモールのルチア」
(藤原歌劇団公演、東京文化会館 3/5)
レオンカヴァッロ作曲「道化師」
(TMPオペラプロジェクト第3弾、三鷹市芸術文化センター・風のホール、5/22)
メノッティ作曲「ブリーカー街の聖女」(東京オペラプロデュース公演、新国立劇場中劇場、7/9)
チマローザ作曲「秘密の結婚」(小空間オペラ公演、はなみがわ風の丘HALL、8/20)
ロッシーニ作曲「セビリアの理髪師」藤原歌劇団公演、新国立劇場オペラパレス、9/9)
モーツァルト作曲「ドン・ジョヴァンニ」東京二期会オペラ劇場、日生劇場、11/24)
(優秀賞は上演順)

選考理由

 2011年を回顧すると、どんな場合でも東日本大震災のことを忘れるわけにはいきません。東京は、津波の被害を受けた各地とは違って、大した被害ではなかった訳ですが、それでも、地震の当日は、私も仕事場に泊まらざるを得ませんでしたし、オペラについても、震災の翌日、交通事情の悪い中、上演した団体もあったわけですが、数多くの公演が中止され、また延期になりました。計画停電の影響も大きかったです。また、福島原発事故の影響で、来日をキャンセルする歌手や団体が数多くあったことも忘れることはできません。本当に大変な年でした。

 そんな中でも、オペラの公演は着実に行われるようになり、私自身もは、41回オペラを見に出かけ、43本のオペラを鑑賞いたしました(演奏会形式を含む)。震災による中止が無ければ更に数回の公演に出かけたのではないかという気がいたします。それでも、43本のオペラを拝見できたのですから満足しなければなりません。

 私自身のオペラ鑑賞を概観すると、本年もここ数年来と同様に、バラエティに富んだオペラ上演を鑑賞した、ということになるかと思います。私の鑑賞記録を分類すると、43本中11本は、舞台上演を見るのが初めての作品でした。また公演主体も、本年は、数年ぶりに外来オペラも聴きましたし、新国立劇場、二期会、藤原のほか、市民オペラや大学オペラも色々見ました。又、演奏会場も100人もお客さんが入れないような小さいところから、新国立劇場オペラハウス、東京文化会館まで伺いました。演奏形態もピアノ伴奏形式から、オーセンティックな古楽器伴奏、大規模管弦楽伴奏まで、いろいろ鑑賞することが出来ました。健康に生活できていればこその楽しみです。

 
さて一応ベスト10を選んでみましたが、勿論これ以外にもよかった公演はあります。そういう意味で「とりあえず」の選択です。

 選択した優秀公演を簡単に総括します。

 新国立劇場のレパートリー公演によいものがありました。例えば、「蝶々夫人」。本年は「椿姫」をその代表として挙げました。本年の「椿姫」は、もの凄く素晴らしいというものではなかったのですが、穴の無い演奏でよかったです。
 藤原歌劇団の「ルチア」は、佐藤美枝子の白磁のような名唱と、村上敏明の情熱的な歌唱の対比が見事でした。背中がぞくぞくするような演奏でした。
 TMPオペラプロジェクトの「道化師」は、三鷹の「風ホール」を一杯にする生々しい音の魅力です。ヴェリズモ・オペラ特有の暑苦しさと、トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズとの生々しさが抜群のマッチングを示し、タイトルロールの水口聡が魅力的でした。
 メノッティの「ブリーカー街の聖女」は、初めて聴く作品なので、過去の聴取経験との比較のしようがないのですが、橋爪ゆか、田辺いづみ、といった方の歌唱と、美しい合唱でランクインです。隠れた名作を日本に紹介し続けている東京オペラプロデッュースならではの演奏です。
 大澤ミカさんが、個人の家を解放して、小空間オペラをやっているのは知っていましたが、初めての鑑賞でした。これは独特の雰囲気があります。実力派プロが、狭い空間でオペラを歌うとどうなるか、ということをよく示しました。
 藤原セビリアは、ベスト10に入れようか他の曲にしようかかなり迷ったのですが、結局入れました。アルベルト・ゼッタが校訂したニューエディションをゼッタ自身が指揮したことや、アルマヴィーヴァ伯爵を歌ったシラクーザの魅力は、やはり忘れることができません。
 二期会「ドン・ジョヴァンニ」。 衝撃的でした。グル―バーの演出は、本来の「ドン・ジョヴァンニ」に期待される倫理性や人間の善なるものを、ある意味捻じ曲げてしまったもの。作品の本質を変えてしまった、という批判もあるようですが、私には楽しかったです。歌手陣も頑張っていました。

 優秀作品の上を行くベスト3ですが、第3位は、NISSAY OPERAの「夕鶴」にします。「夕鶴」は團伊玖磨の日本を代表するオペラであるいことは、言を待たないのですが、この作品の上演に日生劇場が果たした役割も大きいです。定期的にずっと取り上げて来ました。本年は、長年この舞台演出を担当してきた鈴木敬介が亡くなったことで、彼の「追悼」として取り上げられました。いい演奏でした。下野竜也/読響がよく、さらに与ひょう役の大間知覚が抜群の出来。ベスト3の一つとして挙げるのに、全く躊躇しません。

 第2位は、北とぴあ国際音楽祭の「コジ・ファン・トゥッテ」です。この「コジ」は、演奏会形式で行われましたが、古楽器伴奏によるオーセンティック演奏として日本初演であること。完全ノーカットで演奏されたこと、がまず素晴らしいことです。フィオルディリージを歌った森麻季が必ずしも声の特徴を生かし切っていなかった問題はあるものの、歌手陣、オーケストラともに、非常に高品質の演奏を披露してくれました。

 第1位は、昭和音大オペラ「ファルスタッフ」にします。昭和音大オペラは準備に時間をかけ、ソリストには、昭和音大の教員や卒業生の若手実力派を置いて、例年高レベルの演奏をおこなうのですが、今年は、タイトルロールを歌った三浦克次の歌が抜群に良かったです。見た目は「ファルスタッフ」としては如何なものか、という感じがあるのです(いくら肉襦袢を着けても、どっぷりした感じにはなりません)が、歌は、彼を長年聴いてきた私が思うに、彼のベストではないかと思うぐらい素晴らしいものでした。

 というわけで、ベスト歌手も三浦克次です。彼のこの「ファルスタッフ」の歌唱は、大いに讃えられるべきものでした。

 2011年のオペラ公演におけるどくたーT的ベストは以上のとおりです。尚、例年の如く本選考に賞品はありません。選ばれた方・上演には、「おめでとうございます」を申し上げます。

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