どくたーTのオペラベスト3 2007

第1位 1月26日  藤原歌劇団公演
プッチーニ作曲「ラ・ボエーム」
字幕付原語上演  会場 オーチャードホール

第2位 6月17日  新国立劇場公演
リヒャルト・シュトラウス作曲「ばらの騎士」
字幕付原語上演 会場 新国立劇場オペラ劇場

第3位 7月11日  東京フィルハーモニー交響楽団定期演奏会
モーツァルト作曲「イドメネオ」
演奏会形式  会場 東京オペラシティ・タケミツメモリアル

ベスト歌手
村上 敏明(テノール)

優秀賞 
R・シュトラウス作曲「ダフネ」(東京二期会オペラ劇場公演、2/12)
ブリテン作曲「アルバート・ヘリング」
「(新国立劇場オペラ研修所研修公演、3/9)
ヴェルディ作曲「ファルスタッフ」
(新国立劇場公演、6/19)
モーツァルト作曲「フィガロの結婚」国立音楽大学公演、10/21)
ドニゼッティ作曲「ピーア・デ・トロメイ」(昭和音楽大学公演、11/4)
プッチーニ作曲「ラ・ボエーム」(NHK交響楽団定期演奏会、11/9)
(優秀賞は上演順)

選考理由

 2007年は、35回オペラを見に出かけ、37本のオペラを鑑賞いたしました(演奏会形式を含む)。

 本年は例年にも増して、バラエティに富んだオペラ上演があった、という印象が強い1年です。私個人としては、37本中11本は、舞台上演を見るのが初めての作品でした。本年の上演総数は12月をまとめていないので、正確なところは不明ですが、730公演ぐらいではないかと思います。その中で、120作品以上が取り上げられました。ここから見てもバラエティに富んだ1年と申し上げて良いでしょう。

 昨年の年末は、全体の水準に、疑問を呈しましたが、本年は、昨年よりは、満足できる上演が多かったのかな、という気はしています。

 とは言うものの、オペラブームはもう過去のもの、という印象は変わりません。新国立劇場のチケットもとりやすくなりました。新国立劇場は、芸術監督が交代し、ノヴォラツスキー監督から若杉弘監督になりました。若杉は、日本を代表するオペラ指揮者ですから、斬新なアイディアで演目等にも期待していたのですが、まだノヴォラツスキーの置き土産を使用している感じがします。だんだん、若杉の主張が出てくることに期待したいと思います。

 さて、選択した優秀公演を簡単に総括します。

 二期会の「ダフネ」はとても見た甲斐のある上演でした。ダンサーたちの動きが凄く、その印象が強く残っています。歌唱も良かったのですが、踊りのインパクトが強すぎて、歌唱がどうしても押されておりました。そこで、ベスト3に入れず、優秀賞としました。

 三月に見たオペラは、なかなか見応えのある舞台が多かったです。新国立劇場の「さまよえるオランダ人」、「運命の力」は、どちらも私は満足できました。しかし、今一番印象深く覚えているのが研修所公演の「アルバート・へリング」です。という訳で、本公演を採らず、研修所公演をとります。

 本年の前半の新国立劇場は、ノヴォラツスキー監督最後のシーズンということもあったのでしょうか、結果として意欲的な舞台が多かったように思います。その中で、私が特に評価したいのが、6月の「ファルスタッフ」と「ばらの騎士」。ノヴォラツスキー時代の掉尾を飾る名演として評価すべきでしょう。再演の「「ファルスタッフ」を優秀賞にとります。

 本年は、学生オペラや市民オペラもいろいろ見たのですが、その中で一番私の琴線に触れたのが、国立音大の大学院オペラでした。この演奏は、技術的に見れば、全然大した演奏ではありませんでした。しかしながら、演奏者たちの熱意とひたむきさが、客席の心をつかむのです。音楽を楽しむ根本を見せられたような気が致しました。

 昭和音大のピーア・デ・トロメイは、忘れられたドニゼッティの佳編を日本に紹介した功績と、こじんまりとしていましたが、まとまった演奏を評価します。

 N響のボエームは、オペラの手だれ、ネッロ・サンティの技術と、N響の腕、歌手陣の力量の総合評価です。演奏会形式のため、ベスト3には入れませんでしたが、音楽それ自体は素晴らしいものでした。

 ベスト3は、優秀作品にも増して、私の琴線に触れたもの。

 第3位は、東京フィルハーモニーの東京オペラシティ定期演奏会からチョン・ミョン・フム指揮によるイドメネオをとります。チョン・ミョンフムの実力を知らしめた名演と申し上げて良いでしょう。演奏会形式でなければ、一位でもよかったかもしれません。林美智子と臼木あいがもう一頑張りしてくれれば、文句なしの演奏だったと思います。

 第2位は、新国立劇場の「ばらの騎士」をとります。本年は、外来オペラ2団体と、新国立劇場とで「ばらの騎士」がとり上げられる「ばらの騎士」イヤーでありました。3公演とも聴いた人の話によりますと、総合的には新国の上演が3番目だそうですが、私にとって見れば、とても素晴らしい上演でした。新国のプレミエでこれほど上手く行った公演は、随分久しぶりのように思います。

 今年の栄えあるベスト1は、藤原歌劇団の1月公演、「ボエーム」にさし上げます。園田隆一郎の清新な指揮、岩田達宗のオーソドックスながら印象的演出、村上敏明、砂川涼子、高橋薫子、堀内康雄の主要4役の歌手が皆素晴らしく、大変見応えのある「ボエーム」になっていました。

 ベスト歌手は迷います。高橋薫子は、ムゼッタ、ジルダ、モルガーナと活躍しましたので、選ぶことに問題はないのですが、2001年に選んでいるので、他の方を選んだほうがよいでしょう。砂川涼子、村上敏明、堀内康雄、大隅智佳子、林美智子などに印象的な歌唱がありました。迷った末に、村上にしましょう。地元のひいきを一寸いれます。

 2007年のオペラ公演におけるT的ベストは以上のとおりです。尚、例年の如く本選考に賞品はありません。選ばれた方には、「おめでとうございます」を申し上げます。

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