どくたーTのオペラベスト3 2005

第1位 2月10日  藤原歌劇団公演
ロッシーニ作曲「チェネレントラ」
字幕付原語上演  会場 オーチャードホール

第2位 10月30日  東京室内歌劇場公演
ヴェルディ作曲「オベルト、サン・ボニファーチョ伯爵」
字幕付原語上演 会場 新国立劇場中ホール

第3位 12月6日  新国立劇場公演
オッフェンバック作曲「ホフマン物語」
字幕付原語上演  会場 新国立劇場・オペラ劇場

ベスト歌手
砂川涼子(ソプラノ)

優秀賞 
ロッシーニ作曲「とてつもない誤解」(東京オペラプロデュース公演、1/15)
ヴェルディ作曲「マクベス」
(新国立劇場公演、1/20)
ベートーヴェン作曲「レオノーレ」
(新日本フィルハーモニー交響楽団第383回定期演奏会、3/19)
クーラウ作曲「ルル」(インターナショナル フリードリヒ・クーラウ協会公演、6/4)
ツェムリンスキー作曲「フィレンツェの悲劇」/プッチーニ作曲「ジャンニ・スキッキ」東京二期会オペラ劇場公演、7/28)
松村禎三作曲「沈黙」新国立劇場地域招聘公演、9/16)
(優秀賞は上演順)

選考理由

 2005年は、34回オペラを見に行き、35本のオペラを鑑賞いたしました(演奏会形式を含む)。本年は、出かけたい公演が他にもいくつもあったのですが、いろいろな都合でこの回数になってしまいました。私は、外国のオペラ劇場の引越し公演は原則として行かない(正しくは行けない)のですが、それ以外の公演であれば、新国立劇場も学生公演も市民オペラも何でも聴くのですが、本年は、市民オペラが実態としては一度も聴かず、学生公演も昭和音大のみとバラエティの点では一寸寂しいところです。全体としては、圧倒的な感動を受けた公演はなかったと思うのですが、それぞれに光るもののある公演が多く、楽しめた1年でした。

 本年の特徴に、新国立劇場以外の各団体が元気だったことがあげられます。まず二期会はニューウェーヴ公演まで入れると6つの舞台を制作しましたし、藤原歌劇団は、3舞台の制作と、数は二期会の半分にとどまるものの、「チェネレントラ」、「アドリアーナ・ルクヴルール」という二つの名舞台を見せました。東京オペラプロデュースもロッシーニ「とてつもない誤解」、マルシュナー「ヴァンパイア」、ストラヴィンスキー「放蕩者の成り行き」と日本初演を含む滅多に聴けないオペラを上演してくれました。東京室内歌劇場もパイジェッロ「美しい水車小屋の娘」、ヴェルディ「オベルト」を上演しました。更に日本オペレッタ協会も3舞台を世に示しました。

 それに対して、新国立劇場の状況は厳しいものがあります。結果としてそれが良い結果に結びついたとは思いますが、ベルグ「ルル」の3幕版から2幕版への変更は大きなスキャンダルでした。新制作は全てが納得できない舞台と申し上げてもよい。特に9月からの新制作ものは、どれも合格点を与えるに至りません。「セヴィリアの理髪師」の舞台、前のマエストリーニの舞台の方がどれだけましでしょうか?「アンドレア・シェニエ」の悲しくなるほどの演奏も大きく批判されるべきでしょう。プレミエ時あまり評判のよくなかった「マクベス」、「ホフマン物語」が再演によって非常によい舞台に変身しておりましたので、期待ができないとまでは申しませんが、もっと素晴らしい舞台をお願いしたいところです。

 本年も優秀公演を9つあげますが、はっきり申し上げて上期に良い公演が多く、下期には少なかった1年だと思います。まず優秀公演を一つずつ簡単にレビューします。

 東京オペラプロデュースの「とてつもない誤解」は、ロッシーニの初期の名作を本格的に上演したこと、および主役のエルネスティーナを歌った新星・宮本彩音の溌剌とした歌いっぷりを評価しました。宮本の歌は秋のリサイタルでも楽しみましたが、1月の硬質の歌と、秋の抒情的な表現の双方を楽しめたことを私は素直に喜びたいと思います。

 新国立劇場「マクベス」は評判の悪かったプレミエ時とはうって変わっての好演。フリッツァの切れの良い指揮ぶりで音楽が締まったことと、外題役のアルヴァレスの名唱、そして素晴らしい合唱が舞台を引き立てていました。

 新日フィルの「レオノーレ」は「フィデリオ」に改訂する前の版での演奏。簡単な舞台を作っての演奏でしたが、舞台としては決してよいものではなかったと思います。しかし、音楽のみを虚心に聴いたとき、アルミンクの的確な指揮の下、非常にまとまった名演奏でした。歌手陣も結構。ウール、シュヴァニンガー、ヴェルガー、三宅理恵とみな熱演でした。

 クーラウの「ルル」は1838年以来の本格的舞台上演。オペラ作品としては傑作とはお世辞にも言えないと思いますが、日本の中堅の実力者総揃いで演奏としては非常に良いものでした。福井敬、澤畑恵美、高橋薫子の3人の歌唱が実に良く、この歌唱のみでの選択です。

 二期会の「フィレンツェの悲劇」と「ジャンニ・スキッキ」はアルミンクの音楽作りを評価したいと思います。「フィレンツェの悲劇」がトータルの音楽性の高さが際立っていましたし、「ジャンニ・スキッキ」も演出の面白さと演奏の面白さが見事に調和して結構でした。

 ザ・カレッジ・オペラハウスが新国立劇場の地方オペラの招聘公演で上京し、「沈黙」を上演しました。演奏自身、必ずしも私の趣味ではないのですが、全体のまとまりは非常にレベルの高いもので、よかったと思います。

 ベスト3は、優秀賞で選択した公演よりも更に音楽的魅力があった上演です。

 まず第3位の「ホフマン物語」は良くまとまった素晴らしい演奏でした。この「ホフマン物語」、プレミエ時は相当悪評の立った公演で、私もあまり感心しなかったことを覚えているのですが、再演して随分洗練されました。指揮者はプレミエ時と同じ阪哲朗でしたが、これが同じ指揮者による演奏かというぐらい変わったと思います。外題役のフォークトが抜群に良く、砂川涼子のアントニアは本当に名演でした。他の二人の歌姫も良く、更に悪魔役のジェームス・モリス、道化役の青地英幸もいい歌唱で、まさに聴きがいがありました。

 第2位の「オベルト」、決して名作とはいえないヴェルディの処女作をここまで感動的に聴かせたヴィート・クレメンテの熱血的指揮とオーケストラのきびきびした動き、更に女声陣の鍛えられてごまかしのない歌声は、私を大きく感動させました。

 そして第1位は「チェネレントラ」で決まりです。ヴィヴィカ・ジュノーのアンジェリーナが非常に良かったのとシモーネのドン・マニーフィコ、カンディアのダンディーニと来日陣もよく、更にクロリンダ・高橋薫子、ディースベ・向野由美子も良く、更に指揮がロッシーニ音楽の第一人者、アルベルト・ゼッタと来れば悪いわけがありません。演出こそ私の好みではなかったとですが、本年のベストワンにふさわしいものでした。

 ベスト歌手は、スザンナ、クロリンダ、ヴェラ、フィオルティリージをどれも素晴らしく歌い上げた高橋薫子が妥当ですが、彼女は既に選ばれていること、およびどくたーT自身が、高橋の追っかけのように彼女の公演を聴いていることから彼女は除外しましょう。高橋を除いて考えると、宮本彩音、三宅理恵、福井敬なども候補に挙がると思いますが、アントニアの名演を根拠に砂川涼子を選びます。

 2005年のオペラ公演におけるT的ベストは以上のとおりです。尚、例年の如く本選考に賞品はありません。選ばれた方には、「おめでとうございます」を申し上げます。

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