NHK交響楽団定期演奏会を聴いての拙い感想-2020年(前半)

目次

2019年01月12日 第1930回定期演奏会 クリストフ・エッシェンバッハ指揮
2019年01月18日 第1931回定期演奏会 クリストフ・エッシェンバッハ指揮
2019年01月31日 第1933回定期演奏会 ラファエル・パヤーレ指揮

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2020年01月12日 第1930回定期演奏会
指揮:クリストフ・エッシェンバッハ

曲目: マーラー 交響曲第2番 ハ短調「復活」
      ソプラノ独唱:マリソル・モンタルヴォ
メゾ・ソプラノ独唱:藤村 実穂子
合唱:新国立劇場合唱団

オーケストラの主要なメンバー(敬称略)
コンマス:伊藤、2ndヴァイオリン:大宮、ヴィオラ:佐々木、チェロ:辻本、ベース:市川、フルート:神田、オーボエ:𠮷村、クラリネット:伊藤、ファゴット:宇賀神、ホルン:今井、トランペット:長谷川、トロンボーン:新田、チューバ:池田、ティンパニ:久保、ハープ:早川、オルガン:客演(東京芸術劇場専属オルガニストの新山恵理さん)

弦の構成:16型

感想

 今年初めてのN響は「復活」で始まりました。「自分的に何か復活するものはあったかな」とちょっと考えるところですが、もちろんそれは演奏とは関係ありません。

 指揮はエッシェンバッハ。自分がクラシック音楽を本格的に聴き始めた頃は、彼はまだ30代のピアニストで若手扱いだったはずですが、その彼も本年はもう80。年齢に見合った大家の芸を見せてくれたのかなと思います。

 それを特に感じたのは、第二楽章から第四楽章にかけての流れ。オーケストラを煽ることなく、淡々と進めていきます。激しい表現の両端楽章もそれなりに端整な演奏だとは思うのですが、中間楽章があっさりしているので、しっかり対比が見て取れます。そういう意味ではピアニスト出身らしい冷静な判断があると思いますが、それを冷たい感じに聴かせないところが彼の真骨頂なのかもしれません。彼の曲の構築の仕方は、第一楽章と第二楽章の間だけ、20-30秒の休止を取っただけでほかはほとんどアタッカでつなぐやり方。しかしながら、全体的には落ち着いた悠然とした演奏で、演奏時間もほぼ90分と比較的ゆっくりしたものでした。

 ソプラノソロは、ハンナ・エリザベート・ミュラーが当初アナウンスされていましたが、急なキャンセルでマリソル・モンタルヴォに変更。エッシェンバッハとはよく共演されており、彼の指揮する「復活」のソプラノ・ソロも何度も歌っているそうですが、力量的には今一つなのかな、という印象。もちろんこれはソプラノの責任ではなくて、アルト・ソロの藤村実穂子が素晴らしすぎるのです。NHKホールにおいて、合唱団の前という一番後ろのポジションで歌って、「原光」のソロが始まったとたん、三階客席の一番奥まで、密度のある柔らかい声が一瞬にして届くのは、藤村が力量の素晴らしさだと思いますし、またその表現も明晰なドイツ語も相俟って、大変すばらしいものでした。新国立劇場合唱団(男声:40人、女声:47人)も立派な歌唱で、第五楽章の「復活」の雰囲気を盛り上げてくれたと思います。

 年初から素晴らしい演奏を聴かせて貰えました。

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2020年01月18日 第1931回定期演奏会
指揮:クリストフ・エッシェンバッハ

曲目: ブラームス ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 作品83
      ピアノ独奏:ツィモン・バルト
ブラームス(シェーンベルグ編曲) ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 作品25

オーケストラの主要なメンバー(敬称略)
コンマス:篠崎、2ndヴァイオリン:大林、ヴィオラ:佐々木、チェロ:辻本、ベース:吉田、フルート:神田、オーボエ:青山、クラリネット:松本、ファゴット:宇賀神、ホルン:福川、トランペット:菊本、トロンボーン:古賀、チューバ:池田、ティンパニ:植松

弦の構成:協奏曲;14型、四重奏曲;16型

感想

 ブラームスのピアノ協奏曲第2番。かなり主張の強い解釈だったと思います。ピアニストはバルトというアメリカ人。1989年にN響と一度共演したことがあるそうですが、私は初めて聴く人です。バルトは黒いTシャツのようなものを着て演奏したのですが、そのシャツが身体にぴったりくっつき、彼の体格の良さを示します。腕周りとか胸の厚みとかがボディビルダーのようでした。そこで、演奏も男性的な演奏になるのかな、と思ったのですが、それは違っていました。

 それでも第一楽章はしっかり音を響かせて、割と男性的な演奏だったと思いますが、決して壮大な演奏という感じではなく、ある意味、思い込みのない演奏だったといえるのかもしれません。しかし、彼はそのトーンで全曲をまとめることはなく、各楽章ごとで違う表現をしていたように思います。第二楽章のスケルツォは割とあっさりと演奏していた感じで、第三楽章の緩徐楽章も優美な繊細な演奏だったと思います。フィナーレのロンドは「デフォルメ」と言いたくなるほどエッジが立った演奏で、その分繊細でこのピアニストのこの曲に対する」思い入れが伝わってくるような演奏でしたが、お客さんはちょっと面食らっていたようにも思いました。

 ただ、それが彼の設計であり、その設計したように演奏できたというのは会心だったのかもしれません。

 エッシェンバッハは、バルトのピアノに対するオーケストラの絡ませ方に細心の注意を払っていた様子で、第一楽章は室内楽的な響きでピアノを支え、それがバルトの第一楽章が男性的に聴こえた要因だったのかもしれません。N響は楽章が後になるほどに割と自由度が上がっていったと思うのですが、ピアノの世界との関連でそうしたようにも思いました。第三楽章のテーマ提示とその後の掛け合いは、首席奏者の位置に座った辻本玲さんが素晴らしい演奏を聴かせ、ピアニストとの掛け合いが素敵であったこと特記します。

 後半のピアノ四重奏曲。良い演奏だったと思います。曲自身が比較的陰鬱な雰囲気からだんだん明るくなるように書かれているわけで、米国に亡命したシェーンベルグがアメリカ人のために編曲したからこそこんな曲になったのだろうな、と思いました。華やかです。その華やかさをすこし含羞のある感じで演奏するのが、ドイツ人指揮者のエッシェンバッハの真骨頂であり、N響もそれを上手く表現できていたように思います。

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2020年01月18日 第1931回定期演奏会
指揮:ラファエル・パヤーレ

曲目: ショスタコーヴィチ(アトヴミャーン編) バレエ組曲第1番
ショスタコーヴィチ チェロ協奏曲第2番 ト長調 作品126
      チェロ独奏:アリサ・ワイラースタイン
ショスタコーヴィチ 交響曲第5番 ニ短調作品47

オーケストラの主要なメンバー(敬称略)
コンマス:キュッヒル、2ndヴァイオリン:大林、ヴィオラ:川本、チェロ:辻本、ベース:西山、フルート:甲斐、オーボエ:青山、クラリネット:松本、ファゴット:水谷、ホルン:今井、トランペット:菊本、トロンボーン:古賀、チューバ:池田、ティンパニ:植松、ピアノ/チェレスタ:客演(フリー奏者の梅田朋子さん)

弦の構成:協奏曲;14型、その他;16型

感想

 
ラファエル・パヤーレはベネズエラ出身の40歳。若き俊英とキャッチフレーズには書いてありましたが、確かに見た目も若い。燕尾が身体に会っている感じに見えません。しかし、その棒が引き出す音楽はこの指揮者のもつ音楽性と、若さの持つ勢いとがいい具合にバランスされて、なかなか素敵な音楽になっていたのではないかと思います。一言でいえば楷書体の音楽。しかしその楷書体の中でもちょっとしたラテン的な感じも垣間見れて、ちょっとデュトワの音楽にも似ている感じがしました。

 最初のバレエ組曲は、ショスタコーヴィッチの3番目のバレエ音楽「明るい小川」からの6曲ですが、私自身は「明るい小川」という作品を聴いたことがありませんし、ましてや、この組曲も初聴でした。短い、性格の異なった舞曲による組曲で、その性格の違いをきちんと見せていた演奏でした。

 チェロ協奏曲第2番は、ショスタコーヴィチの晩年の傑作の一つですが、私はなかなか縁がなく、初めて実演で聴くことができました。死への不安を強く感じさせる内省的な音楽ですが、ワイラースタインは、割とかっちりしたチェロで、この作品世界を表現していたのではないかと思います。

 この作品、非常に鎮静的な部分と例えば第一楽章のカデンツァ部分における、大太鼓の強打との掛け合いで代表されるような、激しい部分が入り組んだ構造をしていて、その性格の描き分けをするためには、おそらくきっちり区別して演奏したほうが演奏しやすいということがあったのでしょう。N響もそういうソリストに対してきっちり楷書体で返しており、くっきりとした清澄な音楽空間が生まれたものと思います。一方で、ショスタコーヴィチ特有の諧謔さはこの二つの特徴の間ではっきりしなかった感じもしました。

 最後の5番の交響曲。パヤーレの楷書体の音楽づくりがN響のヴィルトゥオジティと上手に反応して、見事な音楽になりました。テンポの捉え方に若干誇張があるようで、そこに表情の濃さが現れていたと思いますが、そこがこの方の特色なのでしょう。若き才能を感じさせられる演奏だったと思います。

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