NHK交響楽団定期演奏会を聴いての拙い感想-2018年(後半)

目次

2018年09月15日 第1891回定期演奏会 パーヴォ・ヤルヴィ指揮
2018年09月21日 第1892定期演奏会 パーヴォ・ヤルヴィ指揮

2018年10月13日 第1894回定期演奏会 パーヴォ・ヤルヴィ指揮
 

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2018年09月15日 第1891回定期演奏会
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ

曲目: ヨハン・シュトラウス2世 喜歌劇「こうもり」序曲
  ヨハン・シュトラウス2世 ワルツ「南国のバラ」作品388
  ヨハン・シュトラウス2世   ワルツ「クラップフェンの森で」作品336
  ヨハン・シュトラウス2世   ワルツ「皇帝円舞曲」作品437
  ヨーゼフ・シュトラウス ワルツ「うわごと」作品212
  マーラー   交響曲第4番ト長調
      ソプラノ独唱:アンナ・ルチア・リヒター

オーケストラの主要なメンバー(敬称略)
コンマス:篠崎、2ndヴァイオリン:白井、ヴィオラ:川本、チェロ:桑田、ベース:吉田、フルート:甲斐、オーボエ:客演(兵庫芸術文化センター管弦楽団コアメンバーの吉村結実さん)、クラリネット:伊藤、ファゴット:水谷、ホルン:今井、トランペット:菊本、トロンボーン:新田、ティンパニ:植松、ハープ:早川

弦の構成:シュトラウス:14型、マーラー:16型

感想

 2018年-2019年シーズンの最初の演奏会は、首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィによるヨハン・シュトラウスとマーラーという19世紀末ウィーン音楽のプログラム。N響でシュトラウス・ファミリーの音楽がまとめて取り上げられるのは珍しく、ここ30年では、2004年にハインツ・ワルベルグがオール・シュトラウスの演奏会をやったのと、2010年に尾高忠明が演奏会の半分をシュトラウスの曲で構成して以来。楽しみに行きました。一方、マーラーの4番は定番で、何度も聴いています。

 さて、演奏ですが、どの曲もパーヴォ節炸裂でした。

 シュトラウスの曲はどの曲も独特のリズム感があります。ウィーン系の指揮者が演奏するとそれがローカルな味になっていいわけですが、パーヴォのリズムの捉え方もまた独特で、ウィーン的なものとはちょっと違うのですが、聴いていると「えっ」と思う部分がありました。それがパーヴォの個性なのだろうと思います。ひとつひとつの音の微妙な伸び縮みや、アッチェラランド、リタルダンドの捉え方などが、パーヴォの皮膚感覚として何かあるのでしょうね。かなり細かい処でいろいろなことをやっていたようですが、N響はしっかりその指示について行っていたようで、面白い演奏に仕上がっていたと思います。

 選曲ですが、どの曲も有名曲ですが、最後に演奏されたヨーゼフの「うわごと」は、ちょっとミステリアスな雰囲気のある曲で、マーラーとのつなぎを意識した選曲なのかな、とちょっと考えました。

 マーラーの4番、こちらもパーヴォの趣味なのか、細かくテンポを揺らした演奏だったと思います。結果としてパーヴォらしさは出ていましたし、この曲の持つ諧謔的な側面が強調されていたと思いましたが、リハーサルの時のテンポを変えたのか、理由はよく分かりませんが、オーケストラの音の揃い方は今一つだったと思います。N響は一糸乱れぬ演奏が得意ですが、今回はなかなかそうはいかなかった感じです。特にゆっくりしたところでのずれが目立ったように思いました。アンア・ルチア・リヒターのソプラノソロ。美しい声のソプラノで、自分も頭に花飾りをつけて登場。澄んだ綺麗な声でよかったですが、最初のところ、ちょっと音程が揺れたのと、声量がNHKホールの空気全体を響かせるには、ちょっと弱かった感じです。

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2018年09月21日 第1892回定期演奏会
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ

曲目: シベリウス 「レンミンケンネンの歌」作品31-1
  シベリウス 「サンデルス」作品28
  シベリウス   交響詩「フィンランディア」作品26(男声合唱付き)
  シベリウス   「クレルヴォ」作品7
      ソプラノ独唱:ヨハンナ・ルネサン**
      バリトン独唱:ヴィッレ・ルネサン**
      男声合唱:エストニア国立男声合唱団(全曲出演)

オーケストラの主要なメンバー(敬称略)
コンマス:伊藤、2ndヴァイオリン:大林、ヴィオラ:佐々木、チェロ:藤森、ベース:市川、フルート:甲斐、オーボエ:青山、クラリネット:松本、ファゴット:水谷、ホルン:今井、トランペット:菊本、トロンボーン:古賀、チューバ:池田、ティンパニ:客演(東京佼成ウインドオーケストラの坂本雄希さん)

弦の構成:16型

感想

 オール・シベリウス・プログラムはオーケストラの演奏会ではそれほど珍しいものではありませんが、交響曲、協奏曲が一曲も入らず、全て男声合唱が入る曲だけでまとめた演奏会というのは、ほとんどないのではないでしょうか。演奏された曲も、「フィンランディア」以外は、私は初めて聴くものばかりです。ちなみに、私が愛用している収載曲数9000の「名曲大事典」にも「フィンランディア」以外の三曲の掲載はなし。かなり珍しいもののようです。

 それで演奏ですが、基本的には素晴らしい演奏会だった、と申し上げてよいと思います。「基本的には」と書いたのは、NHKホールの広さの問題が演奏に影響していたことは否めないと思うからです。

 エストニア国立男声合唱団。とてもうまいです。48人しかいませんが、響きが揃ったときの倍音の出方が半端ではありません。感動して聴いていました。一方で、48人しかいない合唱団をオーケストラの後ろに置くことはどうなのかな、とも思いました。客席からの距離が遠すぎる感じです。それでもテノールが活躍してくれる曲ならまだいいのですが、高音がなくて中低音が中心の曲は響きが伝わるのに時間がかかり、遠くで歌っている感じがとても強く出ます。その意味で、もう少し配置を考えればよかったのに、とは思います。

 最初の「レンミンケンネンの歌」が特にそんな感じでした。本来、もっと勇壮な合唱曲のようですが、遠くで歌われている感じが強すぎて、そのような曲の特徴が消えてしまったと思います。

 二曲目の「サンデルス」。こちらは、かなり長文の叙事詩に曲をつけたもの。もちろん歌詞の意味は全く分かりませんが、快活な表情や勇壮な表情などの使い分けができているようでした。また一曲目よりは高いラインで曲が動いていることもあって、和音がまとまった時の響きがとても素晴らしかったです。男声合唱の魅力をたっぷり味わいました。

 「フィンランディア」。パーヴォはオーケストラをガンガン煽っていました。中間部に男声合唱が入りますが、合唱後のアッチェラランドは半端ではなく、最後はものすごい盛り上がりで終わりました。一方の合唱は緩徐部分でありゆったりと歌い始められますが、クレッシェンドの力強さが凄く、高音がガンガン響き、合唱団の力量をしっかりと示すものでした。素晴らしい演奏だったと思います。

 今回の演奏会の眼玉「クレルヴォ」。とても素晴らしい演奏だったと思います。フィンランドの民族叙事詩である「カレワラ」に題材をとったもので、歌詞付き交響詩、といった感じの曲です。演奏時間はほぼ80分。シベリウスの管弦楽曲の中で一番長い作品だそうです。詩の内容は兄妹の近親相姦を扱ったもので、その管弦楽の充実ぶりと詩の内容からワーグナー的なものを少し感じました。パーヴォ・ヤルヴィの音楽づくりですが、とても自然な感じでよかったです。パーヴォはドイツ物などをやるとき、いろいろな部分を強調しすぎることがあって、時としてデフォルメしているような不自然さを感じることがあるのですが、この曲では全然そういうことはありませんでした。エストニア生まれというフィンランドとの共通性がどこかにあって、それが自然に音楽に乗り移っているかもしれません。

 ルネサン姉弟は「クレルヴォ」を200回以上歌っているということで、さすがに音楽が身体に染み付いている感じです。表情の出し方が素晴らしいと思いました。エストニア国立男声合唱団の合唱もとても立派。彼らもこの曲を相当歌い込んでいる感じです。もちろんN響の技術は申し分ありません。指揮者、独奏者、合唱、オーケストラと素晴らしい組み合わせで、初めて聴く音楽でありながら、感動いたしました。私は音楽の地域性を強調するのはあまり好きではないのですが、今回の演奏は、指揮者、ソリスト、合唱が共通の皮膚感覚を持っている強さを感じました。

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2018年10月13日 第1894回定期演奏会
指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット

曲目: モーツァルト 交響曲第38番ニ長調 K.504「プラハ」
  ブルックナー 交響曲第9番ニ短調(コールス校訂版)

オーケストラの主要なメンバー(敬称略)
コンマス:キュッヒル、2ndヴァイオリン:大林、ヴィオラ:川本、チェロ:藤森、ベース:吉田、フルート:神田、オーボエ:青山、クラリネット:松本、ファゴット:水谷、ホルン:福川、トランペット:菊本、トロンボーン:新田、チューバ:池田、ティンパニ:久保

弦の構成:モーツァルト9-10-6-4-3、ブルックナー15-16-12-10-8

感想

 91歳、現役最長老と申し上げてよい指揮者によるモーツァルトとブルックナー。モーツァルトとブルックナーは演奏スタイルが若干異なっていたように見受けましたが、演奏はどちらも素晴らしいもの。感動的な演奏会だったと思います。

 モーツァルトはブロムシュテットが消えてしまったモーツァルトしか聴こえてこない音楽。でも非常に緻密だし躍動感もある。ブロムシュテットは昔は結構理屈っぽい音楽を作る人で、モーツァルトとの相性が良い指揮者という印象はありませんでした。N響でもモーツァルトと言えば協奏曲の伴奏ばかりで、交響曲を演奏するようになったのはここ10年ほどです。したがって、彼のモーツァルトの交響曲を聴くことは、まだあまり多くないのですが、「プラハ」は二度目になります。前回は2008年1月のことでした。その時の自分の感想を今読んだのですが、今、再掲しても全然違和感がありません。ちょっと引用します。

 それをつくづく感じたのは「プラハ交響曲」です。ブロムシュテットは、この名曲の繰返しを全て行うという、ある意味、非常にケレンの強いことをやってみせました。しかし、それで音楽の流れが損なわれることは何もありませんでした。ブロムシュテットという個性がすっかり音楽の中に隠れて、我々に見えてくるのはひたすらモーツァルトでした。N響の力を持ってすれば、ブロムシュテットがいなくても同じように演奏してしまうだろうな、と思わせてしまうところにブロムシュテットの腕があります。とにかく自然な演奏で、モーツァルトの味わいがとことん表現されていたと思います。現在、これだけのモーツァルトを演奏できる指揮者はそうはいないでしょう。名演奏でした。」

 そのころからモーツァルトの音楽にブロムシュテットが無私な形で浸れるようになったのでしょうね。長老指揮者の芸をたっぷり味わいました。

 ブルックナーはずっと生々しい音楽。9番は未完成で、ブルックナーの「白鳥の歌」とも言われるわけですが、白鳥の歌を感じさせるようなものではありませんでした。

 今回使用したのはコールス校訂版という楽譜。Wikipediaを調べてみますと「コールス校訂版:2000年、ベンヤミン=グンナー・コールスによる、完成された3楽章の新校訂版。ウィーンで新たに発見された筆写譜を参照としており、ノヴァーク版に比べ30か所程度の修正がある」とのことです。私は初めて聴きました。私はブルックナーに詳しいわけではないので、自分の耳ではどこがノヴァーク版と違っているのか全く分かりませんでしたが、そうなのでしょう。この楽譜をブロムシュテットは暗譜で演奏しました。ブロムシュテットは若い頃からブルックナーをレパートリーの中核においていた方で、どの曲も身体に染み付いているのでしょうが、70歳過ぎてから出版された楽譜を全部勉強して、90歳過ぎてから暗譜で演奏するのですから、凄いとしか申し上げようがありません。

 演奏はブロムシュテットらしい緻密さと音楽の持つエネルギーを前面に出そうとする躍動感が共存した演奏。ゆるみがなく若々しい。タクトを持たず、手と表情で指示を出しているのだと思いますが、その様子はかつてのブロムシュテットではありません。さすがに老いが目立っています。しかしながらその動きに敏感に反応するオーケストラが、おそらくブロムシュテットの意図を忖度して、あの若々しい音楽に結びつけたに違いありません。フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットの見事な音やホルン、ワーグナーチューバ、トランペット等の咆哮も魅力的。弦のトゥッティも立派で、素晴らしい演奏に仕上がっていました。

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