NHK交響楽団定期演奏会を聴いての拙い感想-2014年(前半)

目次

2014年01月11日 第1772回定期演奏会 アレクサンドル・ヴェデルニコフ指揮
2014年01月25日 第1774回定期演奏会 ファビオ・ルイージ指揮
2014年04月12日 第1778回定期演奏会 マレク・ヤノフスキ指揮
2014年04月19日 第1779回定期演奏会 ネーメ・ヤルヴィ指揮
2014年05月10日 第1781回定期演奏会 ガエタノ・デスピノーサ指揮
2014年06月07日 第1784回定期演奏会 ウラディーミル・アシュケナージ指揮

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2014年01月11日 第1772回定期演奏会
指揮:アレクサンドル・ヴェデルニコフ

曲目: グラズノフ 演奏会用ワルツ第1番 作品47
     
チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品35
      ヴァイオリン・ソロ:ジェニファー・コー 
       
  チャイコフスキー   

バレエ音楽「眠れる森の美女」作品66(抜粋)

オーケストラの主要なメンバー(敬称略)
コンマス:篠崎、2ndヴァイオリン:永峰、ヴィオラ:佐々木、チェロ:藤森、ベース:吉田、フルート:神田、オーボエ:青山、クラリネット:松本、バスーン:水谷、ホルン:今井、トランペット:菊本、トロンボーン:新田、チューバ:池田、ティンパニ:植松、ハープ:早川、ピアノ:客演(フリー奏者の梅田朋子さん)

弦の構成:協奏曲以外16型、協奏曲;12-10-8-7-6

感想

 ヴェデルニコフの指揮する音楽を聴くのは二回目。昨年の東京二期会「マクベス」の指揮がこの方でした。演出や歌唱は結構印象深く覚えているのですが、指揮者がどんな音楽作りをしたのか、全く覚えていません。当時自分が書いた感想を読んでも、指揮のこともオーケストラのことも何も書いていませんから、多分良くも悪くもない演奏だったのでしょう。

 翻って、今年初めてのN響。ヴェデルニコフの演奏は一言で申し上げればかなり聴き応えありました。ロシアの方だけあって、ロシアものに適性が高いということなのかもしれません。正月早々楽しめて結構です。

 グラズノフの「演奏会用ワルツ第1番」初めて聴く曲ですが、愉悦感のある作品で楽しめます。それも指揮者がワルツの揺らぎを上手くとらえて指揮をしたからなのだろうと思いました。良かったです。

 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。これも面白い演奏。ジェニファー・コーというヴァイオリニストはどうも慌て者の性格があるようです。ハンカチを持たずに舞台に登場して熱気の籠った演奏。汗を拭おうにもハンカチやタオルがありませんから、自分の腕で汗を拭く。この大雑把なところが気に入りました。音楽作りもかなり自由度が高いと見ました。

 ポルタメントたっぷりのロマンチックな表現から熱を帯びた表現への自在な変化が一曲の中で何度も見られ、自由なアッチェラランドも気持ち良いものがありました。ただ、惜しむらくは音程が今一つ正確性に乏しい。折角の自由が音程というベースのゆるみで、本来の魅力が届ききらなかった感じがありました。

 N響のバックはそういうソリストを包み込むように上手に支えていました。

 最後の「眠らる森の美女」抜粋ですが、ヴェデルニコフの良さが上手く表現された演奏でした。この方はバレエ音楽を得意にされているのだろうな、と感じさせるような演奏。その中で、松本さんのクラリネットや篠崎さんのヴァイオリン、金管の咆哮など特に見事な部分がいくつもあり、アンサンブルとしての組合せもとても素敵で立派な演奏になったのだろうと思います。結構でした。

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2014年01月25日 第1774回定期演奏会
指揮:ファビオ・ルイージ

曲目: オルフ カトゥリ・カルミナ
      ソプラノ独唱:モイツァ・エルトマン
      テノール独唱:ヘルベルト・リッパード 
      合唱:東京混声合唱団(合唱指導:松井慶太) 
      ピアノ:梅田朋子、楠本由紀、成田良子、野間春美 
       
オルフ カルミナ・ブラーナ
      ソプラノ独唱:モイツァ・エルトマン 
      テノール独唱:ティモシー・オリヴァー 
      バリトン独唱:マルクス・マルクヴァルト 
      合唱:東京混声合唱団(合唱指導:松井慶太)/東京芸術大学合唱団(合唱指導:阿部純) 
      児童合唱:東京少年少女合唱隊(合唱指導:長谷川久恵) 

オーケストラの主要なメンバー(敬称略)
コンマス:堀、2ndヴァイオリン:白井、ヴィオラ:佐々木、チェロ:藤森、ベース:吉田、フルート:神田、オーボエ:茂木、クラリネット:伊藤、バスーン:水谷、ホルン:今井、トランペット:菊本、トロンボーン:栗田、チューバ:池田、ティンパニ:植松、ピアノ:客演(フリー奏者の梅田朋子さん)

弦の構成:16型

感想

 私のようなすれっからしの観客は、滅多なことでは本当に感心したり感動したりすることはないのですが、今日のルイージ指揮のオルフは、音楽の力に圧倒されました。多分忘れることのできない記憶に刻み付けられた名演でした。音楽の持つ熱量にここまで押しやられたのは、久しぶりの経験です。心を大きく揺さぶられました。

 最初の「カトゥリ・カルミナ」この作品が日本でオーケストラの定期演奏会で取り上げられたのは多分初めてでしょう。少なくとも私は初めて。何せ編成が独特です。オーケストラはピアノが4台に打楽器群だけです。但し打楽器群は、ティンパニ、カスタネット、シロフォン、グロッケンシュピール、メタロフォン、リドフォン、ウッドブロック、マラカス、タンブリン、トライアングル、大太鼓、シンバル、タムタムなどが入り、持ち替えで10人ほどで演奏します。即ちピアノ4台と打楽器10人と合唱が70人ほどでの演奏になります。

 見て分かりますように、通常のオーケストラの編成とは全く異なります。ちなみに奏者14人の中でN響の団員は、ティンパニの植松さんなど4人だけ。あとは全員客演。従ってこの作品はオーケストラ作品というよりは、特殊な編成の伴奏が付いた合唱曲と見るべきです。

 この合唱が頗る上手。女声37人、男声34人の合唱は迫力もあるし、表情も豊かでもう、素晴らしいとしかいいようのないもの。曲の半分ぐらいは伴奏が全くなくなるアカペラで歌うわけですが、アカペラになっても、あるいはアカペラになってこそ合唱の力量が示されます。曲自体も、人間のプリミティブな部分を揺するように作られているのでしょうが、その作曲家の意図をしっかり形にした東京混声合唱団は素晴らしいとしか言いようがありません。

 ソリストの二人は、ソロとして浮かび上がろうとあまりしなかったことが良い。この作品は合唱がソロを支える作品ではないのです。あくまでの主役は合唱ですし、その合唱を引き立てる様な一体感を持ったソロが良かったと思います。

 さて、後半の「カルミナ・ブラーナ」。こちらも素晴らしい。まず指揮が本当にいい。ルイージの音楽作りは、作品の持つ力を最大限に引き出そうというもの。それに呼応したN響も見事でした。神田さんをはじめとしたフルート陣、水谷さんのファゴット、トランペットやトロンボーンの音、みんな素敵だと思いました。

 加えて合唱。前半の「カトゥリ・カルミナ」で素晴らしい合唱を聴かせてくれた東京混声合唱団に東京芸術大学の補強が入ります。総勢男声45人+女性53人。二つの団体の合同演奏ですが、12月のベルリオーズ「テ・デウム」(デュトワ指揮)の時とは違って、合唱が一糸乱れぬ、非常に声が溶け合ったもので素晴らしい。

 ソリストもエルトマンの本当に美しいソプラノも見事で、そこに児童合唱が加わる第15番「キューピットはどこもかしこも」なんて本当にチャーミングで素敵。テノールのオリヴァーのキャラクター・テノールぶりも素敵でしたし、バリトンも悪くありませんでした。

 元々力のある素材からしっかり味を引き出したルイージ。彼が最高の立役者でした。舞台からすべての奏者が消えてからも拍手が続き、指揮者が呼び出されました。ここまで観客が熱狂したN響の演奏会は、私は、朝比奈隆以来の経験です。

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2014年04月12日 第1778回定期演奏会
指揮:マレク・ヤノフスキ

曲目: ブルックナー 交響曲第5番変ロ長調 ≪ノヴァーク版≫

オーケストラの主要なメンバー(敬称略)
コンマス:堀、2ndヴァイオリン:白井、ヴィオラ:小野富士、チェロ:藤森、ベース:吉田、フルート:甲斐、オーボエ:青山、クラリネット:伊藤、バスーン:水谷、ホルン:今井、トランペット:関山、トロンボーン:栗田、チューバ:客演(日本センチュリー交響楽団の近藤陽一さん)、ティンパニ:植松

弦の構成:16型、

感想

 二月は二週連続の大雪のため、交通機関が途絶し、N響は二週間連続で行けませんでした。都心でも2週連続で30cmほどの雪が積もったわけですが、私の住んでいる多摩地区は、更に大雪で、とても家を出ても駅まで歩ける状態ではなく、又、中央線もストップし、泣く泣くN響は断念しました。実際の演奏会は、お客さんはとても少なかったようですがとりあえずやったそうですから大したものです。今日は二月のプログラムだけ貰ってきました。

 そんな訳で、N響を聴くのは三か月ぶりになります。やはりこれ位間が空くと、久しぶり感が強いです。

 そこで、演奏されるのが、ブルックナーの5番というのも結構渋いです。ブルックナーの交響曲は、オーケストラの重要なレパートリーですが、4番、7番、8番が良く演奏され、5番、6番は取り上げられにくい作品だと思います。私は10年ぶり位で聴いたと思います。

 ヤノフスキの演奏は、私がこの曲に感じていた印象とは異なり、アグレッシブな姿勢で音楽を作りました。この作品はもっとゆっくりと春風駘蕩に演奏すると、曲の持っているペーソスが浮かび上がり、曲のそことないおかしみが広がるのですが、ヤノフスキは攻めの姿勢が特徴的です。そのため、そことないペーソスがもう少し輪郭がはっきりとして陰影の多い雰囲気になったように思います。

 それが良いという方は沢山いると思いますが、私はここまで攻めない演奏の方がこの曲らしさが出る様に思いました。

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2014年04月19日 第1779回定期演奏会
指揮:ネーメ・ヤルヴィ

曲目: グリーグ ペールギュント組曲第1番 作品46
     
スヴェンセン 交響曲第2番 変ロ長調 作品15
       
  シベリウス   

交響曲第2番 ニ長調 作品43

オーケストラの主要なメンバー(敬称略)
コンマス:篠崎、2ndヴァイオリン:永峰、ヴィオラ:佐々木、チェロ:向山、ベース:吉田、フルート:神田、オーボエ:青山、クラリネット:伊藤、バスーン:水谷、ホルン:福川、トランペット:関山、トロンボーン:新田、チューバ:池田、ティンパニ:植松
弦の構成:16型

感想

 N響の次期首席指揮者であるパーヴォ・ヤルヴィはなかなかお目見えしませんが、その代わりかどうかは知りませんが、パパ・ヤルヴィが登場しました。聴いて思うのは、大家の芸ということですね。オーケストラのドライヴが非常に巧みです。これだけ上手な人はなかなかいないのだろうな、と思わせました。

 「ペール・ギュント」の組曲。上手いな、と思います。N響で「ペール・ギュント」を取り上げられる機会はあまり多くはないのですが、取り上げられると名演になる曲のようです。思い出してみると、広上淳一が組曲1番、2番を取り上げたことがあるのですが、この演奏が日本人のメンタリティーを引き付ける演歌的な味わいのある名演で、15年ほど前のことになると思うのですが、結構はっきりと覚えています。

 デュトワが「ペール・ギュント」全曲を取り上げた時も圧巻でした。釜洞祐子や平松英子、加納悦子が登場し、合唱も頑張るのですが、それでもデュトワらしい風通しの良い演奏に感動いたしました。 

 今回のヤルヴィの演奏。広上路線ともデュトワ路線とも違うのですが、職人技的巧みさを感じさせる演奏でした。上手いな、と思うのは、例えば、「朝」におけるフルート独奏の後のオーケストラの入りの微妙な間。こういうところは、北欧系指揮者ならではということなのかもしれません。また、「山の王の宮殿で」における、微妙なアッチェラランドを掛けながらのクレシェンド。徹底したオーケストラコントロールが見事でした。広上ともデュトワとも違ったアプローチでしたが、物語を感じさせるような演奏で、たいへん見事だったと申し上げます。

 2曲目の「スヴェンセン2番」は作品的な弱さがあります。北欧的な雰囲気とドイツ音楽の模倣のような感覚が上手に混じりきっていない感じがあって、なかなか演奏されない訳も分かります。第一楽章の終わり方の唐突さ、第4楽章の繰り返しの部分の退屈な感じなどにそれを感じます。ヤルヴィ/N響のコンビの演奏は悪いものだとは思いませんが、曲の持っている力があの程度だと、ヤルヴィが名手とはいえ、お客さんを感動させるのは難しいのかもしれません。

 「シベリウス2番」、良い演奏でした。全体をバランスよく制御するところに、ネーメの職人指揮者としても技を感じましたし、フィナーレのロング・クレシェンドのかけ方などは、観客を熱狂させるスイッチになるような味わいがありました。北欧系指揮者の面目躍如、というべき解釈で大変共感を持てる演奏だったと思います。勿論N響のヴィルテゥオジティも立派なもので、木管首席奏者の4人、福川さんのホルン、ティンパニの力強い音、そして弦楽の一糸乱れぬトゥッティと流石N響だと思わせるもの。立派な演奏に仕上がっていたと思います。

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2014年05月10日 第1781回定期演奏会
指揮:ガエタノ・デスピノーサ

曲目: フランク 交響曲 ニ短調
     
ワーグナー 歌劇「さまよえるオランダ人」からオランダ人のモノローグ「期限は過ぎた」
      バリトン独唱:マティアス・ゲルネ 
       
  ワーグナー   

楽劇「トリスタンとイゾルデ」から前奏曲

       
  ワーグナー    

楽劇「ワルキューレ」から「ヴォータンの別れと魔の炎の音楽」

      バリトン独唱:マティアス・ゲルネ  
       
  ワーグナー   

楽劇「神々の黄昏」から「ジークフリートの葬送行進曲」 

オーケストラの主要なメンバー(敬称略)
コンマス:篠崎、2ndヴァイオリン:白井、ヴィオラ:小野富士、チェロ:向山、ベース:市川、フルート:神田、オーボエ:青山、クラリネット:伊藤、バスーン:宇賀神、ホルン:福川、トランペット:関山、トロンボーン:栗田、チューバ:池田、ハープ:早川、ティンパニ:久保
弦の構成:16型

感想

 若い指揮者の気負いと空回りを強く感じさせられる演奏会でした。はっきり申し上げれば、このデスピノーサと言う指揮者、指揮者としての引き出しが足りい感じです。もっと老獪に、あと一歩引いた位置から全体を見渡すように音楽を作ればよいのに、直球勝負でとてもそんな余裕は感じられませんでした。

 フランクの交響曲、循環形式の、構成の緻密な名曲ですが、そういう曲のせいかもしれませんが、指揮者が先頭に立って引っ張ろうとしすぎます。多分、管楽器を思いっきり鳴らせて、それに見合っただけの音量になるように弦楽器にフォルテを要求したのでしょう。N響のトゥッティ奏者たちは、その指示に従って思いっきり鳴らすのですが、そこにだけ神経が集中しているようで、ハーモニーがまとまって来ないのです。凄いガチャガチャした響きになっていました。

 これは指揮者がオーケストラをもう少し押し上げるような指揮をすれば、N響の優秀なトゥッティ奏者たちは、自分たちで勝手に響きを纏めて美しいハーモニーに仕上げてきます。一寸力を抜くだけで、多分ずっと洗練された音楽になっただろうにな、と思いました。

 指揮者の力みは後半のワーグナーでも凄く感じました。歌手が入るものはそれほどではないのですが、オーケストラだけで演奏されるものは皆そう。「トリスタンとイゾルデ」の前奏曲は、もっともっと官能的な音楽だと思うのですが、デスピノーサが振ると、微妙に慌てた音楽になって、官能的な響きになって来ないのです。例えて言うならば、フィギュアスケートで三回転ジャンプをして、微妙に回転不足になっている感じと申し上げましょうか。残念な感じです。

 歌手が入るものは、歌に合わせて指揮をする、ということを知っているようで、テンポ感覚が歌手のテンポになっていました。その点、オーケストラだけで演奏される曲よりはずっと良かったのですが、歌とのバランスは必ずしも良いとは言えません。少なくとも歌手との音量のバランスは、オーケストラが強すぎる感じで、もう少しオーケストラを抑えた方が、歌手の表現力を際立たせることが出来たのではないかと思いました。

 マティアス・ゲルネはとても実力のあるバリトンで、繊細に音楽の表情を作ってきます。この感情表現は本当に素敵なもので、「オランダ人のモノローグ」にしても「ヴォータンの別れ」にしても細やかなところまで気を使った立派な演奏でした。

 惜しむらくは会場が広すぎます。ゲルネのような繊細な表現力で勝負する歌手は、NHKホールで演奏するには向かない感じです。NHKホールで歌うのであれば、表現力は少し劣っていても、声の強さで勝負できる歌手を呼んだ方が良かったのではと思いました。

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2014年06月08日 第1784回定期演奏会
指揮:ウラディーミル・アシュケナージ

曲目: グラズノフ 交響詩 「ステンカ・ラージン」 作品13
     
プロコフィエフ ヴァイオリン協奏曲 第2番 ト短調 作品63
      ヴァイオリン独奏:パトリツイア・コバチンスカヤネ 
       
  チャイコフスキー   

バレエ音楽「くるみ割り人形」 作品71 から「第2幕」

オーケストラの主要なメンバー(敬称略)
コンマス:篠崎、2ndヴァイオリン:永峰、ヴィオラ:佐々木、チェロ:向山、ベース:市川、フルート:甲斐、オーボエ:青山、クラリネット:伊藤、バスーン:宇賀神、ホルン:今井、トランペット:関山、トロンボーン:栗田、チューバ:客演(日フィルの柳生和大さん)、ティンパニ:久保、ハープ:客演(フリー奏者の水野なほみさん)、チェレスタ:客演(フリー奏者の楠本由紀さん)
弦の構成:協奏曲;12型、それ以外;16型

感想

 私は、指揮者・アシュケナージをあまり高く買っていないのですが、流石にお国ものを振られると上手だと思います。

 本日の白眉は最初のグラズノフです。有名な「ボルガの舟歌」をモティーフにしたグラズノフの出世作。この作品をN響の自発性を上手く引き出しながら、色彩豊かに演奏しています。アシュケナージは、絶対音楽よりも標題音楽に適性のある方ですし、それが自分の祖国のロシア音楽であるということで、特に感性が合うということなのでしょうね。大変彩りの感じられる素敵な演奏でした。

 二曲目のプロコフィエフは今一つだったと思います。ソリストのコバチンスカヤはどうも繊細な表現に特徴がある方のようで、フォルテで演奏しようとしません。あるいは、フォルテで演奏してもそれほど音が強く聴こえないヴァイオリニストです。そう言うことで、アシュケナージもオーケストラの弦楽陣をコンパクトな12型にしたのだと思いますが、それでもオーケストラの方が強い感じです。

 第一楽章は、独奏ヴァイオリンの音がオーケストラの音に埋もれる感じの部分が多く、このヴァイオリニスト、繊細なのは良いけど、もう少し音を出して、オーケストラの上に浮かび上がればよいのに、と思いながら聴いていました。後半はオーケストラの方がソリストに合わせて行ったのか、それとも前半よりはヴァイオリニストの音が強くなったのか、よく分かりませんが、少しはバランスが改善された感じでしたが、それでもソリストの音の弱さを終始感じました。

 最後の「くるみ割り人形」。アシュケナージは、オーケストラの自発性を尊重するように演奏しました。そのため、冒頭の部分は少し速い感じで、音が揃いきっていない感じがしました。しかし、デヴェルティスマンに入ると、流石にN響は上手ですね。それぞれの管楽器奏者たちが、自分たちのヴィルトゥオジティを上手く使いながら、チャイコフスキーの色彩豊かな音楽を的確に描いていきます。

 お客さんの評判も良かったように思います。カーテンコールでアシュケナージは、楽譜を自分の胸に持ち上げて、「良い演奏になったのは、僕がいい指揮をしたからではないよ。チャイコフスキー先生が、素敵に作曲したからだよ」と身振りで示しましたが、それはその通りだったのかもしれません。

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