2022年NHK交響楽団演奏会ベスト3
第1位:10月Aプログラム ヘルベルト・ブロムシュテット 指揮
曲目: マーラー 交響曲第9番 ニ長調
第2位:11月Aプログラム 井上 道義 指揮
曲目: 伊福部 昭 シンフォニア・タブカーラ ショスタコーヴィチ 交響曲第10番 ホ短調 作品93
第3位:9月Aプログラム ファビオ・ルイージ 指揮
曲目: ヴェルディ レクイエム ソプラノ独唱:ヒブラ・ゲルズマーワ アルト独唱:オレシア・ペトロヴァ テノール独唱:ルネ・バルベラ バス独唱:ヨン・グァンチョル 合唱:新国立劇場合唱団(合唱指揮:冨平恭平)
次点:4月Cプログラム クリストフ・エッシェンバッハ 指揮
ベスト指揮者:ヘルベルト・ブロムシュテット
ベスト・ソリスト:藤村 実穂子(メゾ・ソプラノ)選択の理由
2022年はコロナ禍3年目になり、感染拡大は歯止めが止まらない状況になっていますが、重症化するリスクは低減し、演奏会に関しては「マスクの着用」、「ブラボー」などの発声の禁止は継続されているものの、それ以外は昔に戻ってきたと思います。NHK交響楽団も定期演奏会が完全復活し、一時期は舞台上の人数制限から演奏ができなくなっていた合唱付きの曲や大がかりな管弦楽曲も演奏されるようになり、大変結構なことだと思います。 また、9月からはホールの改修のために1年強使用できなくなっていたNHKホールに東京芸術劇場から定期演奏会が戻ってまいりました。それを機に、終演後の写真撮影が解禁されたのも本年の大きなトピックだったと思います。また男性楽員の服装が本年から燕尾服に戻りました。
私自身はA,C両プログラムの会員として、そういう変化の中、本年16回の演奏会を聴くことになりました。
さて、個々の感想のまとめです。
1月は、反田恭平を是非聴きたいという家人にAプログラムのチケットを渡したため、聴いたのはCプロのみ。外国人の入国制限がまた始まり、すでに来日中だったアクセルロッドによるブラームスとブルッフ。いい演奏でしたが、私の好みとは違った方向の演奏でした。
2月は下野竜也のオール・シューマン・プログラムと、鈴木雅明によるストラヴィンスキー。どちらも素敵な演奏でしたが、シューマンのピアノ協奏曲を演奏した小林愛美はイマイチだったかな。
4月はエッシェンバッハ。ベト7をメインに据えたプログラムとマーラーの5番。コロナ禍以降最初に聴いたマーラーになり、印象的でした。
5月、所用でCプロのみの聴取。9月からのシェフとなるファビオ・ルイージの演奏。ベートーヴェンの8番がとてもいい。印象に残る演奏でした。
6月はステファヌ・ドヌーヴが登場。オールフランス近代音楽プログラムAプロと、プーランクと「パリのアメリカ人」の組み合わせのCプロ。N響としてはごく普通の演奏だったと思います。ここまでが東京芸術劇場での演奏。
9月からNHKホールに戻っての演奏。そして9月Aプログラムはファビオ・ルイージによるN響首席指揮者就任演奏会。ヴェルディの「レクイエム」が演奏されました。オーケストラと合唱がとても素晴らしく、感動的な演奏でした。これでソリストが良ければ文句なしだったのですが。Cプログラムはオール・リヒャルト・シュトラウス。こちらも素晴らしかったけれども、ヴェルレクの感動は得られませんでした。
10月は世界の最長老、N響の桂冠名誉指揮者であるヘルベルト・ブロムシュテット。Aプログラムのマーラー9番が本当にブロムシュテットしかできない名演だと思いました。とにかく素晴らしい。Cプログラムはシューベルトの1番と6番という滅多に演奏されない組み合わせ。しっかり楽しませていただきました。
11月はAプロが井上道義。伊福部昭とショスタコーヴィチの組み合わせでしたが、これまたどちらも文句なしの演奏。井上はショスタコ解釈の日本の第一人者ですが、それをよく示す演奏だったと思います。Cプロはスラットキンのコープランド。それなりの演奏でした。
12月はルイージ。Aプロがブルックナーの2番をメインに据えたプログラム。このブルックナーもとても素晴らしかったのですが、特筆すべきは藤村実穂子をソリストに迎えたワーグナー「ヴェーゼンドンクの5つの歌」。素晴らしい楽曲解釈と歌唱技術で見せてくれました。そして私にとって今年最後の演奏は、Cプロのモーツァルト「リンツ」とメンデルスゾーンの「スコットランド」。どちらもルイージらしい味わいの音楽でした。
さて、ベスト3の選択ですが、今年は段違いに9月から12月の演奏が良かったです。NHKホールは音響面で評判の悪いホールではありますが、N響にとっては東京芸術劇場よりもNHKホールの方が演奏しやすいのかも知れません。また、色々と日常に戻ったことで、演奏がしやすかったということもあるのかもしれません。ということで、9月から12月にかけて行った8回の演奏会からベスト3を選びます。
まず3位は、9月のルイージ「ヴェルレク」でしょう。最高の演奏だったと思いますが、惜しむらくはソリストが弱い。今年は10月にも「ヴェルレク」を聴く機会があったのですが、ソリストは、小林厚子、中島郁子、笛田博昭、上江隼人によるよって歌われた10月の方が断然素晴らしかったです。というわけで3位です。
1位と2位は10月のブロムシュテットのマーラーと、11月の井上道義による伊福部とショスタコーヴィッチ。どちらも素晴らしい演奏で甲乙つけがたい。年長者に敬意を表してブロムシュテットを第1位にしますが、井上の演奏を1位としても何の違和感もありません。
次点ですが、正直難しい。12月のAプログラム、Cプログラムともに良かったと思いますが、次点に入れるかというと、前半の演奏会も見てみたいと思います。前半の演奏会で私が良かったと思うのは、2月の下野、鈴木の演奏、4月のエッシェンバッハ、5月のルイージです。
2月の二人は、演奏の整い方で鈴木、曲目のポピュラーさでは下野で、とりあえず下野を候補に残しましょう。4月のエッシェンバッハは、Cプロのマーラーの方がいい演奏なのでそちらを。5月のルイージもルイージらしさがよく出ていました。12月の2つのプログラムはどちらも捨てがたいですが、藤村実穂子の素晴らしい歌唱に敬意を表してAプロを残します。ここからひとつですが、下野とエッシェンバッハと5月のルイージを比べた時、エッシェンバッハが頭一つ出ているかなという印象。5月のCプロと12月のAプロもどちらも捨てがたいですが、すでにルイージは第3位で選んでますので、ここはエッシェンバッハにいたしましょう。ベストソリストは何といっても素晴らしい歌唱を披露した藤村実穂子といたします。
2022年12月21日記
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