2016年NHK交響楽団定期演奏会ベスト3

第1位:9月Cプログラム パーヴォ・ヤルヴィ 指揮

曲目: プロコフィエフ ピアノ協奏曲第2番
      ピアノ独奏:デニス・マツーエフ
  ラフマニノフ   交響曲第3番

 

第2位:2月Aプログラム パーヴォ・ヤルヴィ 指揮

曲目: マーラー 亡き子をしのぶ歌
      バリトン独唱 : マティアス・ゲルネ
  ブルックナー   交響曲第5番(ノヴァーク版)

 

第3位:1月Aプログラム 山田 和樹 指揮

  
曲目: ビゼー 小組曲「子供の遊び」
  ドビュッシー(カペレ編)    バレエ音楽「おもちゃ箱」
      語り:松嶋 菜々子
  ストラヴィンスキー   べレエ音楽「ペトルーシカ」 

次点:12月Aプログラム シャルル・デュトワ 指揮

ベスト指揮者:パーヴォ・ヤルヴィ
ベスト・ソリスト:ヴァディム・レーピン(ヴァイオリン)

選択の理由

 NHK交響楽団が行う年間27プログラムの定期演奏会うち、NHKホールで実施される18回の公演を全部聴くことを目標に行動しているのですが、2016年は18回全部聴きました。パーフェクトですね。今年の全体的な印象は、「屑が少ない」。これに尽きると思います。指揮者の選曲がイマイチと思えるものもありますし、ソリストとオーケストラとの息が合わず、ちょっとね、と思う演奏もありましたが、オーケストラの演奏技術は常に安定していますし、高水準で推移していたと思います。

 さて、個々の感想のまとめです。

 本年は、1月にまず、日本人若手指揮者のホープ、山田和樹がN響定期に初登場しました。おもちゃつながりで選んだ選曲は斬新で演奏も大変素敵なものでした。Cプロは世界の若手ホープであるトゥガン・ソヒエフ。ブラームス二重協奏曲と幻想というオーケストラの王道で聴かせました。

 2月は、首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィが登場しました。ブルックナーの5番をメインとするAプロ、ニールセンの5番をメインとするCプロ。どちらもパーヴォらしいけれんのある演奏で面白かったと思います。ブルックナーと組んだのはマーラーの「亡き子を偲ぶ歌」でしたが、マティアス・ゲルネのソロが、言葉のニュアンスをよく生かした歌唱で印象的でした。

 4月は、レナード・スラトキンが登場。バッハの編曲ものにプロコフィエフという組み合わせと、Cプロは武満徹の「ファミリー・ツリー」の19年ぶりの再演+ブラームスの第一交響曲。バッハの編曲ものの演奏はストコフスキーなどが好きだったわけですが、オリジナル楽器による演奏が当たり前の中、逆に能天気な古さを感じてしまいました。

 5月は、尾高忠明とネーメ・ヤルヴィです。尾高のプログラムは得意のイギリスもの、エルガーの「エニグマ変奏曲」をメインに、小曾根真、チック・コリアをソリストに迎えたモーツァルトの二台のピアノのための協奏曲。このモーツァルト、ソリストがかき回す気満々で、とてもスリリングな演奏になりました。ヤルヴィは滅多に演奏されないカリンニコフを取り上げ、これがまた素敵な演奏でした。

 6月は、桂冠指揮者のアシュケナージ。Aプログラムは、ちょっとひねった選曲で面白く聴くことができました。一方Cプログラムはブラームスの3番をメインに据えたオーソドックスなプログラムでしたが、今一つの感じでした。

 9月はパーヴォ・ヤルヴィ。Aプログラムはブルックナーの2番にモーツァルトの最後のピアノ協奏曲、Cプログラムはラフマニノフの第三交響曲をメインにプロコフィエフのピアノ協奏曲2番を組み合わせました。どちらも素敵な演奏。パーヴォは歌謡性の強い指揮者で、それがよい結果につながる場合と悪い結果につながる場合があると思います。今回はCプログラムのほうがより良い結果に結びついたような気がします。

 10月はヴェデルニコフ。彼自身の世界観があって、それがうまく曲に合えば素敵な演奏になるのですが、それを外した時は結構凡演となる印象。Aプロの「春の祭典」はよかったけれども、Cプロの「悲愴」は期待外れでした。

 11月は、デーヴィッド・ジンマンのオール・シューマンプログラムと井上道義のオール・ショスタコ対決。どちらもそれぞれの持ち味を発揮した面白い演奏会だったと思います。ジンマンの職人芸と井上のパイオニア的力強さ。

 12月は例年通りシャルル・デュトワ。演奏会形式で上演した「カルメン」は、歌手に一部難がありましたが、そのアプローチはさすがに納得の行くもの。小品が多く含まれるCプロはいかにもデュトワというべきプログラム。手堅くまとめました。

 さて、ベスト3の選択ですが、例年通りトーナメント方式で絞っていきましょう。

 1月の山田とソヒエフ。これは文句なしで山田です。2月のAプロとCプロはメインは甲乙つけがたいのですが、もう一曲はヤンセンがソロをとったブラームスのヴァイオリン協奏曲よりもマティアス・ゲルネの「亡き子」のほうが断然よかったので、Aプロを採りましょう。4月もむつかしい。AもCも素敵な演奏でした。どちらか一方をどうしてもとる必要があれば、私は「ファミリーツリー」の19年ぶりの再演を感謝してCプロを採りましょう。5月もむつかしいです。Aプロのモーツァルトは何といっても聴きものでした。一方で、Cプロのカリンニコフも捨てがたいです。悩むところですが、パパ・ヤルヴィにいたしましょう。そして6月アシュケナージはAプロに軍配を上げます。

 9月はCプログラムを採ります。10月はAプログラム、11月は悩むところですが、井上にいたしましょう。日本ではほとんど演奏されることのない「1917年」交響曲を陰影深く演奏するところ、大変すばらしいです。12月はCプログラムも捨てがたいですが、やはり「カルメン」でしょう。

 1月山田と2月ヤルヴィ。どちらも捨てがたい。4月スラトキンと5月のパパ・ヤルヴィの比較ですが、これまたむつかしいです。スラトキンにしましょうか。6月のアシュケナージと9月パーヴォ。これは文句なしで9月。10月のヴェデルニコフと11月井上。これは文句なしで、11月を採ります。そして12月のデュトワが勝ち残りです。

 1月C、2月A、4月B、9月C、11月C、12月Aが残りました。これをもう一度見直すと、一番良かったのは、9月のCプロかもしれません。12月のAプログラムカルメンは、オーケストラ音楽としてみた場合は素晴らしいけれども、オペラとしては昨年の「サロメ」やその前の「ペレアスとメリザンド」と比較すると落ちるところがあります。そう思うと、9月がベストの選択のような気がします。2位は同じヤルヴィのブルックナー、第三位は将来への期待を込めて山田和樹、次点をデュトワにしましょうか。

 ベスト・指揮者はパーヴォ・ヤルヴィ、ベスト・ソリストは悩ましいですが、12月Cプロで素晴らしいプロコフィエフとラヴェル「チガーヌ」を披露したヴァディム・レーピンにしましょう。

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2017年1月1日記

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