2014年NHK交響楽団定期演奏会ベスト3
第1位:1月Aプログラム ファビオ・ルイージ 指揮
曲目: オルフ カトゥリ・カルミナ ソプラノ独唱:モイツァ・エルトマン、テノール独唱:ヘルベルト・リッパード、合唱:東京混声合唱団 オルフ カルミナ・ブラーナ ソプラノ独唱:モイツァ・エルトマン、テノール独唱:ティモシー・オリバー、バリトン独唱:マルクス・マルクヴァルト、
合唱:東京混声合唱団、東京藝術大学合唱団、東京少年少女合唱隊
第1位:12月Aプログラム シャルル・デュトワ 指揮
曲目: ドビュッシー 歌劇「ペレアスとメリザンド」 ペレアス:ステファーヌ・デグー(バリトン) メリザンド:カレン・ヴルチ(ソプラノ) ゴロー:ヴァンサン・ル・テクシエ(バス・バリトン) アルケル:フランツ・ヨーゼフ・ゼーリヒ(バス) イニョルド:カトゥーナ・ガデリア(ソプラノ) ジェヌヴィエーヴ:ナタリー・シュトルツマン(コントラルト) 医師:デーヴィッド・ウィルソン・ジョンソン(バリトン)、羊飼い:浅井隆仁(バリトン)、
合唱:東京音楽大学
第3位:4月Cプログラム ネーメ・ヤルヴィ 指揮
曲目: グリーク 「ペール・ギュント組曲」 第1番 作品46 スヴェンセン 交響曲第2番 変ロ長調 作品15 シベリウス 交響曲第2番 ニ長調 作品43 次点:9月Aプログラム ヘルベルト・ブロムシュテット 指揮
ベスト指揮者:ファビオ・ルイージ
ベスト・ソリスト:モイツァ・エルトマン(ソプラノ)
選択の理由NHK交響楽団が行う年間27プログラムの定期演奏会うち、NHKホールで実施される18回の公演を全部聴くことを目標に行動しているのですが、2014年は大変悲しいことに11回しか聴くことが出来ませんでした。
Cプログラムについては、従来原則金曜の夜に聴いていたのですが、仕事の関係で、金曜の夜に聴きに行けなくなり、土曜に行かざるを得なくなったことが大きいです。土曜は土曜で、他のコンサートと重なったり、用事があったりして毎月行くという訳にはいかない。その上、今年の2月は二週連続の大雪で、どちらも行くのを諦めざるを得ませんでしたし、それやこれやで、結局11回で終わったということです。行けなかったコンサートで、きっと素敵な演奏がされただろうと思うと、大変悲しいです。
それでも、聴いた演奏会はなかなか素敵なものが多く、特に今年のベスト1に上げた二つの演奏会は、ここ数年のN響定期公演の一、二を争うと申し上げて良いものだと思っております。そういう場に居合わせることが出来た幸せを感じております。
さて、個々の感想のまとめです。
本年は、1月にまず、アレクサンドル・ヴェデルニコフとファビオ・ルイージが登場しました。ヴェデルニコフのチャイコフスキーも非常に優れた演奏でしたが、ルイージのオルフは、5年に一度級の名演。圧倒されました。聴いていながら背筋がぞくぞくする感動を味わいました。2月は、尾高忠明とネヴィル・マリナーが登場しました。尾高のオール・シベリウスシリーズは、大変聴きたかったのですが、大雪で交通手段が無く、あえなく断念。マリナーのCプロ、ドヴォルザークの7,8番も、行くつもりだったのですが、首都圏を襲った二週連続の大雪でどうにもならず、諦めました。
4月は、マレク・ヤモフスキとネーメ・ヤルヴィが登場。ヤノフスキは、ブルックナーの5番という渋い演目で登場。あの曲にしては、私には、元気が良すぎる演奏だった気がします。ヤルヴィはお得意の北欧もので、力を示しました。
5月は、ガエタノ・デスピノーサとヘスス・ロペス=コポスです。デスピノーザは、バリトンのマテイアス・ゲルネとともに、ワーグナーの抜粋を演奏しました。ゲルネの繊細な歌唱が良かったです。ヘスス・ロペス=コポスのラロやファリャも聴きたかったのですが、他の予定と重なり、伺うことが出来ませんでした。
6月は、名誉指揮者のウラディーミル・アシュケナージの登場。チャイコフスキーのくるみ割り人形第二幕がチャーミングでした。Cプロは予定が合わず伺わず。
9月はブロムシュテット。大人気。3プログラムともモーツァルトとチャイコフスキーの組合せ。私はAプログラムのみ鑑賞。流石の巨匠の芸でした。
10月は超多忙の月で、Aプログラムもチケットを捨てました。指揮者はロジャー・ノリントン。ベートーヴェン・ツイクルスの仕上げの年でした。
11月は、レナード・スラットキンが来日する予定でしたが、来日不能になり、ネヴィル・マリナーに変更。それとネッロ・サンティの指揮です。マリナーはベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲とブラームスの1番というオーケストラのてーばん中の定番プログラムで臨みましたが、ソリストが遅すぎて、オケとの呼吸が合わず、あまり良い演奏ではありませんでした。サンティは、N響にしては珍しいプロムナード・コンサート。短時間で終了しました。
12月は例年通りシャルル・デュトワ。演奏会形式で上演した「ペレアスとメリザンド」は圧倒的名演。Cプロのベルグ・ヴァイオリン協奏曲と新世界交響曲の組合せも素敵な演奏でした。
さて、ベスト3の選択ですが、トーナメント方式で絞っていきましょう。
1月度はルイージ、4月度は、ヤルヴィ、5月、6月度はアシュケナージ、9月度はブロムシュテット、11月はサンティ、12月はAプログラム。この中で1月のルイージと12月のAプロは、どちらも5年に1回、10年に1回聴けるような名演でしたので、この両者は無条件決定。で、三位決定戦ですが、ヤルヴィとアシュケナージならヤルヴィ、ブロムシュテットとサンティならブロムシュテットを取ります。ヤルヴィとブロムシュテットですが、これは甲乙つけがたいのですが、ペール・ギュントのアプローチに敬意を表してヤルヴィにしましょう。で、今年のベストワンですが、ルイージによるオルフでしょうか、デュトワによる「ペレアスとメリザンド」でしょうか?
これは正直悩みました。どちらも甲乙つけがたい演奏でした。どちらを一位にしても残念な気持ちが残ります。仕方がないので、両方一位にします。あれだけの演奏会を新年と年末に聴けたことを大いに喜びたいと思います。
ベスト・指揮者はデュトワですとありきたりですので、ファビオ・ルイージ、ベスト・ソリストはオルフのソプラノソロを見事に歌い上げたモイツァ・エルトマンにしましょう。
2014年12月28日記
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