2013年NHK交響楽団定期演奏会ベスト3
第1位:2月Cプログラム 準・メルクル 指揮
曲目: サン・サーンス チェロ協奏曲 第1番 イ短調 作品33 チェロ独奏:ダニエル・ミュラー・ショット ラヴェル バレエ音楽「ダフニスとクロエ」(全曲) 合唱:国立音楽大学 合唱指導:田中信昭/永井宏
第2位:10月Aプログラム ロジャー・ノリントン 指揮
曲目: ベートーヴェン 「エグモント」序曲 ブリテン 夜想曲 作品60 テノール・ソロ:ジェームス・ギルクリスト ブリテン 歌劇「ピーター・グライムズ」から「4つの海の間奏曲」 作品33a ベートーヴェン 交響曲第8番 へ長調 作品93
第3位:4月Aプログラム ピーター・ウンジャン 指揮
曲目: ショスタコーヴィチ ヴァイオリン協奏曲 第1番 イ短調 作品77 ヴァイオリン独奏:ヴィクトリア・ムローヴァ ラフマニノフ 交響曲第2番 ホ短調 作品27 次点:9月Cプログラム ヘルベルト・ブロムシュテット 指揮
ベスト指揮者:準・メルクル
ベスト・ソリスト:ヴィクトリア・ムローヴァ(ヴァイオリン)
選択の理由NHK交響楽団が行う年間27プログラムの定期演奏会うち、2013年は18回を聴きました。今年の特徴は、前半のニューフェイス、後半の常連という感じでしょうか。はっきり申し上げれば、今年は「これぞ」と思いだせる演奏が、例年ほど多くはありません。声楽付の大規模曲なども例年以上に演奏されましたが、完成度はどれも今一つでしたし、感動もできなかったように思います。
とりあえず、最終的に選んだ上記3演奏会ですが、この中で盤石の演奏だったな、と思いだせるのは、第1位のメルクルの演奏会だけだと思います。他の演奏会も悪くはないのですが、どうしても選びたいと思わせるものが少なかった気がします。逆に言えば、全体的な水準が高かったということかもしれませんが。
N響のニュース的なことを申し上げれば、
@桂冠名誉指揮者のウォルフガング・サヴァリッシュの逝去
A第1コンサートマスターの山口裕之さんの退団を初めとする新旧交代
Bヨーロッパ演奏旅行の成功が今年の三大ニュースでしょうか。
さて、個々の感想のまとめです。
本年は、1月にまず、デーヴィッド・ジンマンとジョン・アクセルロッドが登場しました。ジンマンのマーラー「夜の歌」とアクセルロッドのバーンスタイン/ショスタコの対決。こちらはアクセルロッドの圧勝ですね。「夜の歌」はミスが多くて、N響もこんな演奏をすることがあるんだ、というほどの演奏。一方のアクセルロッドの方は、指揮者の解釈がオーケストラの演奏から如実に伝わるような演奏で素晴らしかったです。2月はヒュー・ウルフと準・メルクルが登場。ウルフも悪くはなかったですが、メルクルの名演奏の前にはすっかり影が霞む感じです。サン・サーンスのチェロ協奏曲は独奏楽器とオーケストラがよく合って素晴らしかったですし、それに輪をかけてよかったのは、「ダフニスとクロエ」でした。デュトワの名演などでおなじみですが、メルクルの持っていき方は、パステル調の淡い繊細さ。それが本当に見事であり、かつ合唱の登場で、全体の膨らみも素敵でした。
4月はピーター・ウンジャンとビシュコフ。ビシュコフのヴェルディ「レクイエム」に関心が集まりましたが、演奏はウンジャンが確実に上。特にショスタコのヴァイオリン協奏曲で登場したムローヴァの演奏が、歴史に名を残すような超名演。ことしの1曲は、私にはムローヴァがショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番を選ぶことに何の躊躇もありません。
5月は、尾高忠明のイギリス音楽とフェドセーエフのロシア音楽の対決。これは尾高が良かったです。ウォルトンの交響曲第1番は初めて耳にする曲でしたが、もっと前から知っていたかったと思うようなチャーミングな曲で素敵でした。
6月は、下野竜也とチョン・ミョンフンの登場。チョンは私の大好きなロッシーニの「スターバト・マーテル」を持ってきたので、凄く期待していたのですが、指揮者のもって行き方などは流石だなと思いましたが、歌手が非力なのと合唱にミスが目立ちイマイチ。下野の惑星は、フレッシュな名演。
後半は9月に名誉指揮者のブロムシュテットがオール・ブラームス・プログラムで登場。とても1928年生まれとは思えない元気な演奏で良かったです。演奏は、交響曲2/3番をやったAプロよりも、4番/ヴァイオリン協奏曲を取り上げたCプロが良かったと思います。
10月はロジャー・ノリントンによるベートーヴェン中心のプログラム。ノリントンらしい、オーセンティックを意識した演奏で、それがぴたりとはまったのがベートーヴェンの第8交響曲。これは素敵な演奏でした。
11月はネッロ・サンティのヴェルディの歌劇「シモン・ボッカネグラ」とソヒエフによるロシアもののプログラム。「シモン・ボッカネグラ」は渋いオペラですが素敵な作品ですし、サンティもこの作品のことを知悉しているとは思いますが、結果として演奏会形式に向かない曲でした。ソヒエフのロシアものは悪くはないけれども、N響としてはごく普通の演奏と申し上げて良いでしょう。
12月は名誉音楽監督のデュトワがストラヴィンスキー/リスト/ショスタコとお得意の楽曲を並べたAプロと、プーランク「グロリア」とベルリオーズ「テ・デウム」というフランスの宗教音楽2曲を選択したCプロ。Cプロは合唱が今一つの感じでしたが、Aプロは流石デュトワというべき演奏でした。
さて、ベスト3の選択ですが、トーナメント方式で絞っていきましょう。
1月度はアクセルロッド、2月度はメルクル、4月度は、ウンジャン、5月度は尾高、6月度は下野、9月度はCプログラム、10月はAプログラム、11月は選択なし、12月はAプログラム。ここまでは妥当な線でしょう。以上ベスト8です。ベスト8からベスト4に絞ります。1月度、2月度では、メルクルでしょう。4月度、5月度では、ウンジャン。6月度、9月度では下野の清新さも捨てがたいですが、ブロムシュテットの王道プログラムを取りましょう。10月と12月は難しい選択ですが、ノリントンのドヤ顔に敬意を表してノリントンを取ります。
ベスト4を選んだところで、順位ですが、1位の準・メルクルは動かないところ。後の三演奏会はどれも同様に良かったですが、ノリントンの原点に返ったようなベト8があったことからノリントンを2位。ソリストに敬意を表してウンジャンを3位に推しましょう。
ベスト・指揮者は準・メルクル、ベスト・ソリストはヴィクトリア・ムローヴァで決まりです。こちらは迷いがありません。2013年12月30日記
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