2011年NHK交響楽団定期演奏会ベスト3

第1位:4月Cプログラム ロジャー・ノリントン 指揮

曲目: マーラー   花の章
     
  マーラー    さすらう若人の歌
    バリトン独唱:河野 克典
     
  マーラー    交響曲第1番 ニ長調 「巨人」


第2位:2月Aプログラム チョン・ミョンフン 指揮

曲目: ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
      ヴァイオリン独奏:ジュリアン・ラクリン
     
  ベルリオーズ    幻想交響曲 作品14


第3位:10月Cプログラム アンドレ・プレヴィン 指揮

曲目: メシアン     トゥランガリラ交響曲
        ピアノ独奏:児玉 桃
        オンド・マルトノ独奏:原田 節 

次点:12月Aプログラム シャルル・デュトワ 指揮

ベスト指揮者:チョン・ミョンフン
ベスト・ソリスト:藤村 実穂子(アルト)

選択の理由

 NHK交響楽団が行う年間27プログラムの定期演奏会うち、2011年は17回を聴きました。その17回に関して申し上げれば、結構でこぼこが多かった印象です。勿論N響は基本的に機能的な団体ですから、最低水準はどんな場合でも維持していますが、素敵な演奏となると、やはり指揮者に依存する感じです。

 今年の演奏会の大きな特徴は、本年がマーラー没後100年のマーラー・イヤーであるため、マーラーの作品を沢山演奏された、ということを上げなければなりません。今年1年間で、1、3、4、8、「大地の歌」と5つの交響曲が取り上げられ、更に「さすらう若人の歌」、「リュッケルトによる5つの歌」、交響曲10番からの「アダージョ」、「花の章」も取り上げられました。私のこれらのマーラーの演奏を全て聴きましたが、若干の例外はあるものの、全体的に非常に素晴らしい演奏になっていたと思います。これはとても喜ばしいことです。

 さて、個々の感想のまとめです。

 本年は、1月にまず、ワシーリ・ベトレンコが登場しました。小菅優がピアノを演奏したベートーヴェンのピアノ協奏曲は今一つでしたが、マンフレッド交響曲は立派な演奏でした。Cプロは、Aプロと比べると今一つの出来。イオン・マリンの神経質な雰囲気が曲を萎縮させた感じです。2月はチョン・ミョンフン指揮の2回演奏会。「幻想」をメインにしたAプロと、マーラー3番を演奏したCプロ、どちらも素晴らしい出来でした。4月のノリントンも素晴らしい演奏でした。特にCプロのオールマーラープログラム。あんな素敵な「巨人」を聴いたのは初めてです。5月は正指揮者・尾高忠明が、父君・尾高尚忠の交響曲や、彼が最も得意とするエルガーの交響曲を引っ提げて登場しました。6月のアシュケナージは、アシュケナージらしい私には一寸理解しがたい演奏を披露しました。

 前半の演奏会で特に良かったのは、1月A、2月A、C、4月Cだったと思います。

 さて後半ですが、9月は名誉指揮者、ヘルベルト・ブロムシュテットが登場。竹澤恭子とのシベリウスがよく、メインの新世界交響曲も手堅い演奏でした。10月の首席客演指揮者のアンドレ・プレヴィン。足が悪いプレヴィンは、座っての指揮でしたが、Aプロの「ドイツ・レクイエム」、Cプロの「トゥランガリラ交響曲」、どちらも立派でした。11月は最初アナウンスされていたイルジー・コウトが来日せず、シナイスキーと準・メルクルが登場。メルクルの指揮したオール・マーラー・プログラムが良かったです。12月は名誉音楽監督のシャルル・デュトワの登場。Aプロではマーラーイヤーの掉尾を飾る「一千人の交響曲」を取り上げ、その祝祭的雰囲気を楽しみました。又、Cプロではバルトークの傑作オペラ「青ひげ公の城」を取り上げてくれました。

 後半の演奏会で特に良かったのは、9月A、10月A、C、11月A、12月Aだったと思います。

 以上の9回からベスト3候補を選びます。前半の4つからまず落ちるのは1月のAプロでしょうね。あとの3回は、甲乙つけがたい。後半は、9月のAプロはよかったのですが、ポピュラリティがあり過ぎるので涙をのんで切りましょう。10月のACは、完成度でCプロを取ります。11月と12月のマーラー、これも甲乙つけがたいのですが、滅多に演奏されないことを踏まえて、12月にしましょう。

 以上残ったのが、2月のA、C、4月C、10月C、12月Aです。チョン・ミョンフンが振った二つの演奏会は、どちらも非常に良かったですが、どちらかを選ぶとすれば、完成度で「幻想交響曲」を取ります。残った4つから順番を着けると、4月Cプログラム、3月Aプログラム、10月Cプログラム、12月Aプログラムの順になりました。ベスト指揮者は、最後の5回の演奏会まで二つの演奏会を残したチョン・ミョンフンでしょう。

 ベスト・ソリストですが、こちらも難しいです。2月のAプロで、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を演奏したジュリアン・ラクリン、9月のシベリウスを演奏した竹澤恭子、11月Cプロの「大地の歌」で素晴らしいアルト・ソロを披露したクラウディア・マーンケ、10月Cプロで、素晴らしいピアノを披露した児玉桃なども候補になりますが、ひとりだけ選ぶとなれば、マーラーの3番交響曲で、アルト独唱を歌われた藤村実穂子でしょうか。

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2011年12月27日記

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