2006年NHK交響楽団定期演奏会ベスト3

第1位:11月Cプログラム サー・ロジャー・ノリントン指揮

曲目: ベートーヴェン   ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
      ヴァイオリン独奏:庄司紗矢香
  ヴォーン=ウィリアムス   交響曲第5番 ニ長調

第2位:4月Aプログラム シャルル・デュトワ指揮

曲目: ベルリオーズ   劇的物語「ファウストの劫罰」作品24
      マルガレーテ:ルクサンドラ・ドノーゼ(メジ・ソプラノ)
      ファウスト:ジャン・ピエール・フルラン(テノール)
      メフィストフェレス:サー・ヴィラード・ホワイト(バス・バリトン)
      ブランダー:佐藤 泰弘  ソプラノ:天羽 明恵
      合唱:二期会合唱団、児童合唱:東京少年少女合唱隊
      合唱指導:佐藤 宏、児童合唱指導:長谷川冴子

第3位:1月Cプログラム ヘルベルト・ブロムシュテット指揮

曲目: モーツァルト   交響曲第34番 ハ長調 K.338
       
  モーツァルト   ミサ曲 ハ短調 K.427
      ソプラノT 幸田浩子、ソプラノU 半田美和子
      テノール 福井敬、バリトン 河野克典
      合唱 国立音楽大学 合唱指導:田中信昭、永井弘

次点:6月Cプログラム 準・メルクル指揮

選択の理由

 NHK交響楽団が行う年間27プログラムの定期演奏会うち、2006年は17回を聴きました。その17回に関して申し上げれば、本年は、前半に素晴らしい演奏会が多く、後半はさほどでもなかった、と総括することが出来るのではないかと思います。

 本年1月には、まずブロムシュテットが登壇し、端正なブラームスと精妙なモーツァルトで大いなる感動を与えてくれました。2月のアシュケナージの挑戦的プログラムも面白く聴きました。初めてスクリャービンの「プロメテウス」という作品を聴きましたが、正直申し上げれば、あっけにとられました。

 4月の名誉音楽監督・デュトワによるベルリオーズ「ファウストの劫罰」も名演。怪奇趣味に陥らない端正な指揮とN響の技術、それにソリスト陣の活躍で、大変感動的舞台を構築されました。もう一つのラヴェルを両端に置いたプログラムもデュトワらしいエスプリの効いたプログラムで結構でした。

 5月のAプロ、スクロヴァチェフスキも流石でした。80歳過ぎの長老指揮者だというのに、音楽が硬直しないところが何と申し上げても素晴らしいところです。「未完成」も、「ジュピター」も大変結構でした。6月の準・メルクルによるシューマン・プログラムも面白いもの。クララ・シューマンのピアノ協奏曲などという滅多に聴けない珍品の紹介もありました。

 1月から6月までは、良い演奏が続いた、という印象です。後半は、前半と比べると見劣りがします。

 9月の正指揮者シリーズが今ひとつでしたし、10月のアシュケナージはショスタコーヴィチプログラムはよかったと思うのですが、もう一つの海外演奏旅行用プログラムは今ひとつでした。その中で、特筆すべきは、ロジャー・ノリントンの登場でしょう。古楽器奏法から入ってきた方ですが、最近はフルオーケストラも演奏されます。しかし、そのアプローチは音楽史に忠実で、古楽器奏法をオーケストラやソリストにも要求するところに特徴があります。今回は、ノンビブラート奏法をN響楽団員やソリストに要求し、話題になりましたが、その成果は正に剋目すべきものがありました。ノンビブラート奏法で演奏すると、音楽性が一目で分かる。これは驚きでありました。

 以上のなかからベスト3候補を選ぶとすれば、1月のAプロ、Cプロ、4月のAプロ、Cプロ、5月のAプロ、6月Cプロ、10月Cプロ、11月Cプロでしょうか。それぞれ近い二つの演奏会からどちらがいいかトーナメント方式で選びます。

 ブロムシュテットの二つの演奏会は、どちらも結構なものでしたが、歌手たちのがんばりと本年がモーツァルトイヤーであったことを踏まえて、Cプロを採りましょう。デュトワの二つの演奏会もどちらも捨てがたいのですが、一つに絞るならばベルリオーズにせざるを得ない。名演でした。スクロヴァと準・メルクルは、準・メルクルのダイナミズムをとりましょう。アシュケナージとノリントンは勿論ノリントンです。文句なし。

 ここから、ベスト3の選択ですが、第1位はノリントンをとりたい。目からうろこが落ちた演奏でした。第2位はデュトワ、第3位がブロムシュテット。妥当な線だと思います。

 以上、本年のベスト指揮者はノリントン、ベストソリストは庄司紗矢香を選びたいと思います。

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2006年12月18日記

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