2004年NHK交響楽団定期演奏会ベスト3

第1位:2月Aプログラム ハインツ・ワルベルグ指揮

ワルベルグN響デビュー・プログラムシリーズ ヨハン・シュトラウスの夕べ

曲目:ヨハン・シュトラウスU世作曲

喜歌劇「こうもり」序曲  / アンネン・ポルカ 作品117
ワルツ「ウィーンの森の物語」作品325 / 行進曲「新兵さんの出陣」作品398
喜歌劇「千一夜物語」〜間奏曲 / ポルカ「雷鳴と電光」作品324
喜歌劇「ヴェネチアの一夜」序曲 / トリッチ・トラッチ・ポルカ 作品214
皇帝円舞曲 作品437 / 常動曲 作品257
喜歌劇「ジプシー男爵」序曲 / ワルツ「美しき青きドナウ」作品314
ヨハン・シュトラウスI世 作曲   ラデツキー行進曲

第2位:11月Aプログラム ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮

曲目: ハイドン   交響曲第35番変ロ長調 Hob.I-35 
       
  ブリテン   ヴァイオリン協奏曲 作品15
      ヴァイオリン独奏:フランク・ペーター・ツィンマーマン
       
  ベートーヴェン   交響曲第7番イ長調 作品92

第3位:1月Aプログラム シャルル・デュトワ指揮

曲目: ベルリオーズ   序曲「ウェイヴァリー」作品1bis 
       
  ハチャトゥリヤン   ピアノ協奏曲
      ピアノ独奏 ジャン・イヴ・ティボーデ
       
  リヒャルト・シュトラウス   交響詩「英雄の生涯」作品40

次点:11月Cプログラム ファビオ・ルイージ指揮

選択の理由

 NHK交響楽団が行う年間27プログラムの定期演奏会うち、2004年は18回を聴くことができました。2004年/2005年のシーズンは、新音楽監督アシュケナージが就任するシーズンとなった訳ですが、就任前後を比較すると、夏までの就任前のほうがより充実していたのではないか、という印象です。アシュケナージは、就任お披露目の演奏会の一つであった10月Aプログラムで、指揮棒を手に刺すというアクシデントを起こし、初日の後半をキャンセルしましたし、名誉音楽監督のデュトワも12月のAプログラムを体調不良でキャンセルしました。このようなトラブルが多い時は、なかなか演奏も素晴らしいものにはならないようです。そんな訳で、本年は、前高後低の一年間ではなかったかと思います。

 印象深かった演奏を1月から順に挙げて行くと、

 1月のAプロとCプロ、名誉音楽監督デュトワが、その力量を十分に発揮しました。デュトワは、N響と7シーズンに渡り常任指揮者、音楽監督として密接な関係にあった訳ですが、この関係でにおいて、デュトワはN響を手兵に育てたと言わざるを得ません。デュトワの特徴は、クリアに明晰に音楽が聞える所にある訳ですが、N響も彼が振ると、そのような見とおしの良いすっきりした音楽を作ります。

 N響と最も密接な関係にあったけれども名誉指揮者の称号を与えられなかったハインツ・ワルベルグの振った2月のAプロとCプロ、これまた素晴らしい演奏でした。ことにヨハン・シュトラウスの夕べと題された一夜。なんともいえぬ味わいがあってとても素敵でした。

 スクロヴァチェフスキの振った4月定期はオール・ベートーヴェン・プログラムとなった訳ですが、この中では交響曲4番と7番を演奏したAプログラムが比較的良かったのではないかと思いました。

 クリヴィヌが振ったを6月のCプロも良好。彼は、メンデルスゾーンに適性があるようで、「宗教改革」交響曲がなかなかよかったのではないかと思います。

 9月は、オペラをも暗譜で振るネッロ・サンティが登場。Cプログラムがよく、ロッシーニの序曲やレスピーギに魅力的な音楽を聴かせて下さいました。

 10月のアシュケナージの音楽監督就任演奏会が終ると登場したのが、桂冠名誉指揮者のサヴァリッシュでした。サヴァリッシュが振った二つのプログラムのうち、私が聴いたのはベートーヴェンの7番をメインとするプログラムでしたが、これが実に名演、私が聴いたサヴァリッシュ/N響のコンピで最高かもしれないと思えるような素晴らしいものでした。

 サヴァリッシュの次に登場したルイージの演奏は、抒情的な色合いで素敵でした。12月のデュトワは、体調があまり思わしくないようで、デュトワ節とも言うべき音楽を聴かせてくれたのですが、1月定期ほどの切れはなかったのではないかと思います。

 以上私の聴いた18回の演奏会をざっと見渡しましたが、このうち、特に良い印象が残った演奏会は、1月のAC両プログラム(デュトワ)、2月のAC両プログラム(ワルベルグ)、9月Cプログラム(サンティ)、11月Aプログラム(サヴァリッシュ)、11月Cプログラム(ルイージ)の計7プログラムでした。

 次ぎは、近接した二つの演奏会同士で優劣を競います。

 1月のデュトワ指揮の二つのプログラムですが、私は「英雄の生涯」をメインに置いたプログラムを取ります。デュトワのレパートリーからすれば、ストラヴィンスキー、サン・サーンス、ラフマニノフを組み合せたCプロの方が良いようにも思いますが、ハチャトゥリアンのピアノ協奏曲の魅力と、構成がすっきりと見渡せて、曲の持つ魅力を余すところなく示した「英雄の生涯」に、私は強い共感を覚えます。

 2月のワルベルグは、「ヨハン・シュトラウスの夕べ」を取ります。このような自在なヨハン・シュトラウスはなかなか聴けるものではありません。正に職人ワルベルグの力量を見せた名演奏でした。

 9月のCプロと11月Aプロ、これは11月のAプロが確実に上。11月のCプロも良かったですが、11月AとCのどちらかを選ばなければならないとすれば、私は11月Aを取ります。

 以上、1月A定期、2月A定期、11月A定期が、私の本年のベスト3N響定期演奏会です。次点が11月C定期。このベスト3の順位ですが、正直迷うところです。その中で、デュトワが三位、というのは動かないところだと思います。一位、二位はどちらがどちらでもよいようですが、その後亡くなられてしまったため、二度と聴くことが出来なくなったワルベルグの演奏を第一位にいたします。そう言えば、ワルベルグのこのウィンナ・ワルツ集、ワルベルグの作為が完全に昇華して、音楽のみがきこえた部分が有りました。ワルベルグがこの時点で自分の死を悟っていたとは思えませんが、少なくとも何らかの境地にあったのではないでしょうか。

 ベスト指揮者は、ハインツ・ワルベルグ、ベストソリストには、ピアノのジャン・イヴ・ディボーテを選びます。

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2004年12月26日記

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