2002年NHK交響楽団定期演奏会ベスト3

第1位:1月Cプログラム パーヴォ・ヤルヴィ指揮

曲目:コダーイ ガランタ舞曲
   バルトーク ヴァイオリン協奏曲第1番 Sz.36
        ヴァイオリン独奏:ドミートリ・シトコヴェツキ
   プロコフィエフ 交響曲第5番 変ロ長調 作品100

第2位:5月Aプログラム アラン・ギルバート指揮

曲目:ラヴェル  左手のためのピアノ協奏曲 ニ長調
     ピアノ独奏 スティーヴン・オズボーン
   ショスタコーヴィチ  交響曲第4番 ハ短調 作品43

第3位:12月Cプログラム エサ・ペッカ・サロネン指揮

曲目:ストラヴィンスキー バレエ音楽「ペトルーシカ」(1947年版)
    ピアノ:東誠三
   ショスタコーヴィチ ピアノ協奏曲第1番ハ短調作品35
    ピアノ独奏:アレクサンドル・トラーゼ トランペット独奏:関山幸弘
   バルトーク 組曲「中国の不思議な役人」作品19,Sz.73

選択の理由

 私は、今年NHK交響楽団の定期公演を17回聴きました。内訳はAプログラムが8回、Cプログラムが9回で、会場は全てNHKホールです。今年の特徴は、水準の高い演奏会が多かった、と言うことだと思います。ベスト3は若手指揮者の演奏になりましたが、スクロヴァチェフスキ、デュトワ、サヴァリッシュ等のベテラン指揮者の演奏にも優れたものが多かった様に思います。

 印象深かった演奏を1月から順に挙げて行くと、

 1月のAプロとCプロ、パーヴォ・ヤルヴィがその才能を余すことなく示しました。Aプロの静的魅力、Cプロの動的魅力、それぞれ感動させられるものがありました。

 音楽監督のデュトワは、全体に高水準の演奏を聴かせてくれました。2月のAプロが特によかったと思います。諏訪内晶子の独奏によるプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲、幻想と非常によい演奏でした。9月のAプロも好かったですし、Cプロのシマノフスキ・プログラムもよかったのではないでしょうか。

 4月客演のスクロヴァチェフスキの演奏もよかったです。繊細でかつ骨太な演奏をして見せてくれました。Aプロ・Cプロ共にレベルの高い、メッセージ性のある演奏でした。

 5月のギルバートも才能を感じずにはいられないような演奏でした。Aプロのショスタコ4番の料理の仕方は、ギルバードの鋭い表現と柔らかい表現との絶妙なバランス感覚を示す魅力的なものでしたし、Cプロのニールセンの表現の描き分けにも才能を感じさせられました。

 11月のサヴァリッシュもまたサヴァリッシュの円熟を見せてくれる演奏をいたしました。カヴァコスをソリストとするメンコンや英雄の生涯がことに素晴らしかったと思います。

 12月のサロネンは、ショスタコの第一ピアノ協奏曲におけるトラーゼが抜群でした。中国の不思議な役人も良かったです。

 結局私は、17回聴いた演奏会の内、12回は評価出来ると考えています。これはN響の実力の高さを示すもので、ご同慶の至りです。この12演奏会はどれでも本年ベスト3に入っておかしくない演奏会ですが、このうち、1指揮者1演奏とする原則にして、絞込みました。私が残したのは、1月Cプロ、2月Aプロ、4月Aプロ、5月Aプロ、11月Aプロ、12月Cプロです。

 次ぎは、近接した二つの演奏会同士で優劣を競います。

 まずは、1月Cプロ、パーヴォ・ヤルヴィ対2月Aプロ音楽監督デュトワの対決です。私はここでヤルヴィに軍配を上げました。デュトワの演奏は全体的に高品質で屑が少ないところに特徴があると思っています。どれも水準以上の演奏で、がっかりさせられることはほとんどない。しかし、最近の演奏は+サムシングが見えないことが多いのです。これは、聴き手である私が贅沢になったと言うことかも知れません。でも、若くて何処か音楽を突き破りそうな魅力のあるヤルヴィに惹かれます。

 4月のスクロバと5月のギルバート。これは私の趣味からギルバートです。スクロバの音楽の作りが悪いということは全くありません。むしろ音楽的なやり方としては納得の行くものを多く含んでおりました。でも、ギルバートです。もうこれは趣味としか言いようがありません。私はギルバートの音楽の作り方により共感を覚えるのです。

 11月サヴァリッシュと12月サロネン。これは絶対サロネン。サヴァリッシュの音楽には手馴れた落ち着きがあって、聴き手にしてみれば、ドイツ音楽の本流を歩んで来たN響らしさが出汁のように利いていて、快感です。でもこれは私にはオールド・ファッションなのです。その意味で、新しさを存分に感じさせられたサロネンを選びたい。ソリストもトラーゼを聴くまでは、カヴァコスこそ本年No1ソリストだと思っておりましたが、トラーゼを聴いてからはトラーゼが1番です。そんな訳でサロネン。

 サロネン、ギルバート、ヤルヴィの順位ですが、正直にいえば現在一番印象深いのはサロネンの演奏です。でも、サロネンを聴いてからまだ1箇月も経っていません。それに対してヤルヴィは聴いてから1年が過ぎようとしています。そこを現在の印象だけで選んでいいのか、という気がするのです。そこで、ベスト3は、聴取時期の古い順に1,2,3位としました。横並びで聴けば、もっと違った感想を持つかもしれませんが、このようにいたします。3回ともとても素敵な演奏会でした。

 ベスト指揮者は、パーヴォ・ヤルヴィ、ベストソリストにはトラーゼを選びます。

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2002年12月31日記


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